2018年2月15日木曜日

第30回社会福祉士国家試験から考える適切な勉強方法

過去問は,勉強のヒントの宝庫です。

ただ内容を覚えるのはもったいないです。

これからも1年かけて,学習ポイントを考えていきたいと思います。

点で見ても分からないことも流れで押さえていくと見えてくるものはたくさんあります。

現在,第30回国試が終わってから,いろいろ分析を進めているところですが,4年前の国試の重要性の法則は,今回も生きていました。

以下はその一例です。

第30回・問題79 任意後見契約に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 任意後見契約は,任意後見契約の締結によって直ちに効力が生じる。

2 任意後見契約の締結は,法務局において行う必要がある。

3 任意後見契約の解除は,任意後見監督人の選任後も,公証人の認証を受けた書面によってできる。

4 任意後見人と本人との利益が相反する場合は,特別代理人を選任する必要がある。

5 任意後見人の配偶者であることは,任意後見監督人の欠格事由に該当する。

任意後見制度のポイントは法定後見よりも多くはないので,それほど難しくはないことが多いですが,第30回のこの問題は,難しいものです。

今までなら選択肢1と2あたりに答えが来ることが多かったのですが,今回はそれではなかったからです。

選択肢5の任意後見監督人の欠格事項が正解です。

選択肢4もかなり難しいです。

法定後見の場合,後見人と本人との利益が相反する場合は,特別代理人を選任する必要があります。法定後見の場合,必要な時に後見監督人を選任します。

後見監督人が選任されている場合は,後見監督人が本人の代理になりますので,特別代理人を選任する必要はありません。

任意後見は必ず任意後見監督人が選任されます。

任意後見人と本人との利益が相反する場合は,任意後見監督人が本人を代表します。ここが法定後見と任意後見の違いです。法定後見と違い,特別代理人を選任する必要はありません。

さて,正解となった選択肢5です。任意後見監督人になれないのは,任意後見受任者,任意後見人の配偶者,直系血族,兄弟姉妹です。

第26回国試では,以下のように出題されています。


第26回・問題81 

任意後見契約に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 任意後見契約は,事理弁識能力喪失後の一定の事務を委託する契約書が当事者間で作成されていれば効力を有する。

2 任意後見契約では,本人の事理弁識能力が不十分になれば,家庭裁判所が職権で任意後見監督人を選任する。

3 任意後見人と本人との利益が相反する場合,任意後見監督人があっても特別代理人を選任しなければならない。

4 任意後見人の配偶者は任意後見監督人になることができないが,兄弟姉妹は任意後見監督人になることができる。

5 任意後見監督人の選任後,任意後見人は,正当な理由がある場合,家庭裁判所の許可を得れば任意後見契約を解除できる。


第30回・問題79と第26回・問題81は驚くほど問題の作り方が似ています。

実は,任意後見監督人の欠格事項はこの時にしか出題されていません。

過去3年間の過去問では対応できない理由がここにあります。

第26回の国試の問題の答えは,選択肢5です。

この問題の詳しい解説
 ↓    ↓
http://fukufuku21.blogspot.jp/2017/07/blog-post_7.html



過去3年間の過去問よりも4年前の国試問題から出題されるものが多いのは,ずっと同じ傾向が続いています。

2年連続で出題される可能性が低いことを考えると,3年間の過去問にこだわるとしたら,最新の国試問題を外して過去3年間の方が過去問を使って勉強するのがもっとも効率性が高いと言えます。

毎回,コンスタントに出題されているのは,第22回国試です。現行カリキュラムの第1回の問題なので,試験委員もスタンダードなものとして,参考にしやすいからなのでしょう。

しかもほとんどの人は見ることはできないので,試験委員にとっては好都合なのです。

過去3年間の過去問を勉強すれば合格できるよ

というアドバイスが生きている限り,4年前以前のものを参考にして出題する傾向は続くはずです。
そのため,私たちは,昨年は,第26回を追いかけて,そのあとに第25回を解説してきました。
このブロクが参考になったとしたら,国試の法則が続いていることを証明するものだと思います。

来年に向けては,第27回を追いかけていきます。

今は,来年に向けての準備をしている人が少ない時期なので,レディネスが高まったら始めていきたいと思います。

過去3年間の過去問を勉強すれば合格できるよ

過去3年間の過去問を完璧に覚えても,合格できるだけの知識量には絶対になりません。

しかし,この都市伝説が生きる限り,試験の法則は生き続けることでしょう。

3年間の過去問を中心に勉強した人の言葉はいつも同じです。

今年の傾向は変わったね。

しかし,ちっとも変わっていません。

過去に出題された範囲から,8~9割が出題されます。

つまり1~2割は新しいものということになります。

本当に傾向が変わったのなら。

すべて過去に出題された問題で構成されている。

3割以上が新しい問題で構成されている。

の2パターンということになります。

しかし,そうとはなっていません。

出るか出ないか分からない

○○報告,○○白書に目を通しておくと良いですよ

こんなあいまいなアドバイスはいらないです。

膨大な情報量を目を通すだけで覚えられるのなら,そんなに楽なことはありません。

なぜこんなことを言うのだろう,といつも思います。

あいまいな知識がたくさんあるよりも,確実な知識が大切です。

頻出のものを確実に覚えていく方が得点力を上げる近道です。


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