前回に引き続き,今回もシステム理論を取り上げます。
システム理論は,クライエントと環境は,影響し合う関係であるととらえるものです。
家族システムの事例問題では,以下に気をつけます。
正しい確率が高いもの
交互作用
全体に働きかける など
間違いになる確率が高いもの
個別に(個々に) など
それでは,今日の問題です。
第32回・問題100
事例を読んで,H児童福祉司(社会福祉士)の家族システムの視点に基づいた対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
父(43歳)と母(39歳)と暮らしているJ君(12歳)は,真夜中に繁華街を徘徊していたところ警察に補導された。親と連絡がつかないため,W児童相談所に保護された。W児童相談所のH児童福祉司がJ君に家族について尋ねたところ,父母は仕事が多忙で,今日も母親から渡されたお金で夕食を食べるために繁華街に来ていたことがJ君から語られた。
1 J君の行動は父の無責任さによるものと考え,父への介入に焦点を当てる。
2 J君に,真夜中に繁華街を徘徊しないよう指導する。
3 J君に,父や母がJ君のことをどう思っているかを尋ねる。
4 J君に,一時的に親戚宅で生活するよう提案する。
5 J君の心情を考え,今以上にJ君に関わるよう,母親を指導する。
それでは,解説です。
1 J君の行動は父の無責任さによるものと考え,父への介入に焦点を当てる。
2 J君に,真夜中に繁華街を徘徊しないよう指導する。
4 J君に,一時的に親戚宅で生活するよう提案する。
5 J君の心情を考え,今以上にJ君に関わるよう,母親を指導する。
これらは,個別に(個々に)働きかけているものです。
家族システムの視点によるものではありません。
3 J君に,父や母がJ君のことをどう思っているかを尋ねる。
これだけが,交互作用となっています。
第35回・問題98
事例を読んで,R市子ども福祉課の社会福祉士が行う,家族システムの視点に基づいた今後の対応として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Jさん(15歳)は,小学6年生の時に父親を交通事故で亡くした後,母親(37歳)と母方の祖母(58歳)の3人で暮らしている。母親は,朝から夜中まで働いているため,家事全般は祖母が担っている。Jさんは,中学生になった頃から,祖母へ暴言を吐くようになり,最近は家の中で暴れたり,家に帰ってこなかったりするようになった。祖母は途方に暮れ,友人でもある近所の民生委員・児童委員に相談すると,R市子ども福祉課の相談窓口を紹介され,来所につながった。
1 祖母に思春期の子への対応方法を学習する機会を提供する。
2 家族の凝集性の高さが問題であるため,母親に祖母との距離を置くよう求める。
3 家族関係を理解するため,3人の互いの思いを尋ねていく。
4 家族システムを開放するため,Jさんの一時的別居を提案していく。
5 家族の規範を再確認するため,それぞれの役割について話し合う機会を設ける。
1 祖母に思春期の子への対応方法を学習する機会を提供する。
2 家族の凝集性の高さが問題であるため,母親に祖母との距離を置くよう求める。
4 家族システムを開放するため,Jさんの一時的別居を提案していく。
これらは,個別に(個々に)働きかけているものです。
家族システムの視点によるものではありません。
3 家族関係を理解するため,3人の互いの思いを尋ねていく。
5 家族の規範を再確認するため,それぞれの役割について話し合う機会を設ける。
これらは,交互作用となっています。
ということで,正解はこの2つです。