今回は,財務会計です。
まずは,減価償却についてです。
減価償却とは,固定資産(土地を除く)を購入した費用を法定期間で分散させて,費用を分散させるものです。
会計に計上する費用を減価償却費といいます。
減価償却費はあくまで会計処理なので,減価償却費自体は,費用が外部に流通しているものではありません。
もう一つのテーマは,社会福祉法人の財務諸表です。
社会福祉法人が公表しなければならない財務諸表は,
・貸借対照表
・資金収支計算書
・事業活動計算書
があります。
貸借対照表 |
当該会計年度末現在における全ての資産,負債及び純資産の状態を表示するもの。 資産の部(表の左側,いわゆる借方),負債の部及び純資産の部(表の右側,いわゆる貸方)に区分し,更に資産の部は流動資産及び固定資産に,負債の部は流動負債及び固定負債に区分しなければならない。 2 純資産の部は,基本金,国庫補助金等特別積立金,その他の積立金及び次期繰越活動増減差額に区分する。 |
資金収支計算書 |
当該会計年度における全ての支払資金の増加及び減少の状況を表示するもの。 支払資金残高は,当該流動資産と流動負債との差額。 |
事業活動計算書 |
当該会計年度における全ての純資産の増減の内容を表示するもの。 |
それでは,今日の問題です。
第32回・問題125
社会福祉法人の会計財務等に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 減価償却費は,法人の外部に資金が流出する費用である。
2 貸借対照表の負債の部は,資金を何に投下したかを表す。
3 管理会計は,組織外部者への情報開示を目的とする。
4 事業活動計算書とは,一時点のストックを表すものである。
5 貸借対照表は,バランスシートと呼ばれるように,負債及び純資産の部合計と資産の部合計の金額は一致する。
この科目が苦手な人は,いやになるような問題でしょう。
しかし,国家試験では繰り返し繰り返し出題されてきているので,出題内容が明確です。
覚えるか覚えられないかの違いはあれど,覚える内容は,極めて明確です。
それでは,解説です。
1 減価償却費は,法人の外部に資金が流出する費用である。
前説に書いたように,減価償却費は,固定資産を法定の期間内にわたって,会計上に計上するものであり,実際には,法人の外部には費用は流出していません。
資金が外部に流出するのは,固定資産を購入した時です。
2 貸借対照表の負債の部は,資金を何に投下したかを表す。
貸借対照表の負債の部に示されるのは,流動負債及び固定負債です。
3 管理会計は,組織外部者への情報開示を目的とする。
管理会計は,管理という名称がついているところから推測できるように,組織管理に役立てることを目的とします。
4 事業活動計算書とは,一時点のストックを表すものである。
一時点のストック(〇年〇月〇日現在と表示される)を表すものは,貸借対照表です。
事業活動計算書と資金支払計算書は,当該会計年度(〇年〇月〇日~〇年〇月〇日と表示される)の内容を表します。
5 貸借対照表は,バランスシートと呼ばれるように,負債及び純資産の部合計と資産の部合計の金額は一致する。
これが正解です。
貸借対照表
〇年〇月〇日現在
資産の部 |
負債及び純資産の部 |
|
(負債) (純資産) |
合計 |
合計 |
左側と右側の合計額は,一致します。
〈今日の注意ポイント〉
現場ではなじみがない用語が並んでいるので,知識がないと正解するのは,なかなか難しいと思います。
そのために,受験生の得点に差が生じる部分でもあります。
減価償却と財務諸表だけでも覚えたいです。