現代のソーシャルワークは,イギリスで生まれ,アメリカで発展したものです。
そのため,外国人の名前やカタカナの専門用語が多く登場します。
ソーシャルワークをしっかり学んだ人同士は,専門領域が異なっても共通基盤でつながります。
ソーシャルワーカーが専門職であるとしたなら,避けて通ることができません。
一人ひとりの努力が,10年先,20年先,50年先,100年先の地位を作り上げます。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題97 事例を読んで,G社会福祉士がこの段階で行う対応として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
地域包括支援センターのG社会福祉士は,「どこに相談してよいか分からない」という女性からの電話を受けた。電話の内容は,数年前からこの地区で一人暮らしをしている母親(72歳)を心配した,遠隔地に住む娘からのものであり,以下のことが話された。「母親に認知症の初期症状がみられるようで,ゴミを出す日を間違えたり,家の中も片づけられない。近所の人とゴミのことで口論となることもあり,今後この地区で,今までのように暮らしていくことができるか,また,家族としてどのようにしていけばよいか悩んでいる」。
1 アウトリーチ
2 モニタリング
3 ソーシャルアクション
4 ターミネーション
5 アセスメント
絶対に関係ないものが含まれているので,意味さえ分かれば,正解するのはそれほど難しくはないでしょう。
ポイントは,電話相談を受けた時点であることです。
絶対にあり得ないのは,モニタリング(経過観察)とターミネーション(終結)です。
迷うものとしては,ソーシャルアクション(社会活動法)かもしれません。
しかし,今は,電話相談を受けた時点です。
情報が何もない中,今,行わなければならないのは,情報をつかむことです。
その要素を含むのは,アウトリーチとアセスメントです。
ということで正解は,選択肢1と5です。
〈今日の注意ポイント〉
事例問題が苦手だと思う人は意外と多いようです。
事例問題は,事例検討ではありません。
ソーシャルワークの基本が問われます。
そこを押さえながら考えると,ミスせずに確実に正解できるのが,国試の事例問題です。
今日の問題で言えば,初期対応は,情報を得ることであることです。
そのため,初回面接(インテーク,あるいはエンゲージメント)で,問題解決につながるような情報を提供することは,通常ありません。
理由はわかりますね? 何もわかっていないからです。それにもかかわらず,わかったような気持ちになるのは,個別化の原則から外れるので,絶対に正解にはならないでしょう。
国家試験は,社会福祉士のあるべき姿を問うものです。
ただし,情報を得ることが基本なのは,一般的な事例です。
児童虐待の事例では,通告が優先されます。これも法制度に沿った基本となります。