2023年12月5日火曜日

カタカナの専門用語にご用心

 現代のソーシャルワークは,イギリスで生まれ,アメリカで発展したものです。

そのため,外国人の名前やカタカナの専門用語が多く登場します。


ソーシャルワークをしっかり学んだ人同士は,専門領域が異なっても共通基盤でつながります。


ソーシャルワーカーが専門職であるとしたなら,避けて通ることができません。

一人ひとりの努力が,10年先,20年先,50年先,100年先の地位を作り上げます。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題97 事例を読んで,G社会福祉士がこの段階で行う対応として,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 地域包括支援センターのG社会福祉士は,「どこに相談してよいか分からない」という女性からの電話を受けた。電話の内容は,数年前からこの地区で一人暮らしをしている母親(72歳)を心配した,遠隔地に住む娘からのものであり,以下のことが話された。「母親に認知症の初期症状がみられるようで,ゴミを出す日を間違えたり,家の中も片づけられない。近所の人とゴミのことで口論となることもあり,今後この地区で,今までのように暮らしていくことができるか,また,家族としてどのようにしていけばよいか悩んでいる」。

1 アウトリーチ

2 モニタリング

3 ソーシャルアクション

4 ターミネーション

5 アセスメント


絶対に関係ないものが含まれているので,意味さえ分かれば,正解するのはそれほど難しくはないでしょう。


ポイントは,電話相談を受けた時点であることです。


絶対にあり得ないのは,モニタリング(経過観察)とターミネーション(終結)です。


迷うものとしては,ソーシャルアクション(社会活動法)かもしれません。


しかし,今は,電話相談を受けた時点です。


情報が何もない中,今,行わなければならないのは,情報をつかむことです。


その要素を含むのは,アウトリーチとアセスメントです。


ということで正解は,選択肢1と5です。


〈今日の注意ポイント〉


事例問題が苦手だと思う人は意外と多いようです。


事例問題は,事例検討ではありません。

ソーシャルワークの基本が問われます。


そこを押さえながら考えると,ミスせずに確実に正解できるのが,国試の事例問題です。


今日の問題で言えば,初期対応は,情報を得ることであることです。


そのため,初回面接(インテーク,あるいはエンゲージメント)で,問題解決につながるような情報を提供することは,通常ありません。


理由はわかりますね? 何もわかっていないからです。それにもかかわらず,わかったような気持ちになるのは,個別化の原則から外れるので,絶対に正解にはならないでしょう。


国家試験は,社会福祉士のあるべき姿を問うものです。


ただし,情報を得ることが基本なのは,一般的な事例です。

児童虐待の事例では,通告が優先されます。これも法制度に沿った基本となります。

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