特定非営利活動法人の活動分野は,20分野あります。
そのうち,最も多いのは,「保健,医療又は福祉の増進を図る活動」です。
ほかの活動分野に比べると圧倒的に多く,全体の半数以上が「保健,医療又は福祉の増進を図る活動」を行っています。
なお,20分野の詳細を覚える必要は一切ありません。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題120
特定非営利活動法人の制度や実態に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 内閣府の統計によると,2018年度(平成30年度)末時点の特定非営利活動法人の活動分野として最も多いのは,「保健,医療又は福祉の増進を図る活動」である。
2 特定非営利活動法人の全ての職員のうち,給与を受ける者の数は3分の1以下でなければならないと法に定められている。
3 一つの市町村のみに主たる事務所を置く特定非営利活動法人の所轄庁は,市町村長であると法に定められている。
4 特定非営利活動法人は非営利組織であるので,収益事業を行うことはできない。
5 特定非営利活動法人の認証を受けるには,社員のうち3人以上の者の氏名(法人にあってはその名称及び代表者の氏名)や住所又は居所を記載した書面が必要である。
ある程度,勉強している人であれば,確実に正解したい問題です。
理由は,消去法ではなく,正解できる問題だからです。
それでは,解説です。
1 内閣府の統計によると,2018年度(平成30年度)末時点の特定非営利活動法人の活動分野として最も多いのは,「保健,医療又は福祉の増進を図る活動」である。
前説のように,これが正解です。
こんな古い統計データは約に立たないと思わないでください。
社会福祉士の国家試験の特徴は,年度によって順位がころころ入れ替わるようなものは出題しないことです。
そのために,相当古い問題ではない限り,出題当時と現在も傾向が変わらないものがほとんどです。
2 特定非営利活動法人の全ての職員のうち,給与を受ける者の数は3分の1以下でなければならないと法に定められている。
給与を受ける者の数は3分の1以下でなければならないと法に定められているのは,職員ではありません。
この規定が,事実なら,NPO法人の職員として働きたいと思う人はそれほど多くないと思います。
また,NPO法人も職員を確保することは困難でしょう。
NPO法人は,ボランティア集団ではありません。もちろんボランティア団体として活動しているNPO法人もあるかもしれません。
特定非営利活動とは,不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とした活動のことです。
給与を受ける者の数は3分の1以下でなければならないと法に定められているのは,役員です。
3 一つの市町村のみに主たる事務所を置く特定非営利活動法人の所轄庁は,市町村長であると法に定められている。
福祉に関連するもので,市町村長が所轄庁になるものは,ほとんどありません。
介護保険法の地域密着型サービス事業者などや障害者総合支援法の特定相談支援事業者など,ほんとうに少ないです。
NPO法人の所轄庁は,都道府県知事,政令指定都市長です。
町村長が所轄庁になることはありません。
4 特定非営利活動法人は非営利組織であるので,収益事業を行うことはできない。
NPO法人は,特定非営利活動のほかに,収益事業を行うことができます。
5 特定非営利活動法人の認証を受けるには,社員のうち3人以上の者の氏名(法人にあってはその名称及び代表者の氏名)や住所又は居所を記載した書面が必要である。
特定非営利活動法人の認証を受けるには,社員のうち10人以上の者の氏名や住所又は居所を記載した書面が必要です。
また,社員の資格の得喪に関して,不当な条件を付さないことが必要です。
〈今日の注意ポイント〉
解説にも書きましたが,所轄庁が市町村長となるものは,ほとんどありません。
勉強の段階で,市町村長が所轄庁になるものが出てきたら,そこをしっかり押さえます。