地域福祉(支援)計画の策定は,以前は任意でしたが,現在は努力義務に変更されています。
義務ではないことに注意が必要です。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題118
T市役所で地域福祉計画を担当する職員であるK社会福祉士は,次期の地域福祉計画の策定に向けて,2017年(平成29年)に改正された社会福祉法の内容を踏まえ,策定の準備に取り組むこととなった。
次のうち,K社会福祉士が取り組む内容として,適切なものを2つ選びなさい。
1 現行の計画を評価するために評価委員会を立ち上げ,数値化できる,定量的な事項に限定して客観的に評価を行う。
2 地域住民,福祉・保健・医療関係者,市役所内で計画に係る複数の部局の職員等が参加する地域福祉計画策定委員会を組織する。
3 地域福祉計画に地域住民の意見を反映させるために各地区の公民館等を会場として地域住民が主体的に参加する懇談会を開催する。
4 計画に対する地域住民の意見は,前回の計画の策定時におけるアンケート調査結果のデータを基にして計画の策定を進める。
5 計画の策定には専門的な知識と技術が必要になるため,市内の社会福祉法人に策定の作業を委託することを検討する。
この問題では,「2017年(平成29年)に改正された社会福祉法」と限定して出題していますが,それがあってもなくても,正解はできる問題でしょう。
それでは,解説です。
1 現行の計画を評価するために評価委員会を立ち上げ,数値化できる,定量的な事項に限定して客観的に評価を行う。
評価には,数値化した客観的データを使った定量的な評価と主観的な定性的な評価の2つがあります。
定性的評価は,「満足」「不満足」といったものです。
定性的な評価も重要です。
2 地域住民,福祉・保健・医療関係者,市役所内で計画に係る複数の部局の職員等が参加する地域福祉計画策定委員会を組織する。
これが1つめの正解です。
地域福祉計画策定委員会は,市町村の地域福祉担当部局に設置されて,さまざまな立場から検討していきます。
3 地域福祉計画に地域住民の意見を反映させるために各地区の公民館等を会場として地域住民が主体的に参加する懇談会を開催する。
これが2つめの正解です。
懇談会は,地域住民のニーズを把握するために用いられます。
4 計画に対する地域住民の意見は,前回の計画の策定時におけるアンケート調査結果のデータを基にして計画の策定を進める。
T市では,以前に地域福祉計画を策定していたようですが,その時とは地域住民のニーズは変化しています。
過去のデータを参考にすることはあるかもしれませんが,新たにニーズ把握することが必要です。
5 計画の策定には専門的な知識と技術が必要になるため,市内の社会福祉法人に策定の作業を委託することを検討する。
地域福祉計画は,地域福祉の推進主体である地域住民等が参加して策定することが大切です。
〈今日の注意ポイント〉
今日の問題は,何のひねりもありませんが,注意すべきこととして,選択肢1の「限定して」が注意ポイントです。
ここを見逃すと正解に思えてしまいます。たった4文字で大違いです。