社会福祉法人は,評議員,評議員会,理事,理事会,監事を置かなければなりません。
そのうち,評議員会は,社会福祉法人の最高議決機関として,役員の選任及び解任などを決議します。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題122
福祉サービス提供組織の経営体制と財源に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
1 個人が社会福祉法人に対してその主たる目的である業務に関連して寄附した場合には必要書類を添付の上確定申告をすることで所得控除を受けることができる。
2 社会福祉法人のうち,第一種社会福祉事業を経営しない法人は,評議員会を設置しなくてもよい。
3 介護保険制度における介護報酬の支払には,保険者がサービス利用者本人に支払い,その後利用者から事業所に対して支払う法定代理受領の仕組みがある。
4 特定非営利活動法人における社員総会に出席できない社員は,定款の定めるところにより書面による表決に代えて電磁的方法によって表決を行うことができる。
5 特定非営利活動法人は,特定非営利活動に係る事業に支障がない限り,利益の配当をすることができる。
前説に書いた内容は,選択肢2に出題されています。
それでは,解説です。
1 個人が社会福祉法人に対してその主たる目的である業務に関連して寄附した場合には必要書類を添付の上確定申告をすることで所得控除を受けることができる。
これが1つめの正解です。
社会福祉法人に寄附すると,所得控除を受けることができます。
2 社会福祉法人のうち,第一種社会福祉事業を経営しない法人は,評議員会を設置しなくてもよい。
評議員会は,社会福祉法人に必置の機関です。
3 介護保険制度における介護報酬の支払には,保険者がサービス利用者本人に支払い,その後利用者から事業所に対して支払う法定代理受領の仕組みがある。
法定代理受領とは,利用者は窓口で自己負担分のみ支払い,サービス提供事業者が保険者に請求して,サービス提供事業者に保険給付するという仕組みです。
法定代理受領がないと,利用者がサービス提供事業者に代金を支払い,利用者は保険者に請求することで,保険給付するという面倒なことになります。
また,あとで保険給付されるといっても,先に全額支払うのは大変です。そのために,作られた仕組みです。
保険者がサービス利用者本人に支払い,その後利用者から事業所に対して支払う
は誰も代理に受領していません。また,国民に先払いする制度は通常ありません。こういうことを考えると法定代理受領を知らずとも,正解ではなさそうだと判断できそうです。
4 特定非営利活動法人における社員総会に出席できない社員は,定款の定めるところにより書面による表決に代えて電磁的方法によって表決を行うことができる。
これが2つめの正解です。
社員総会とは,NPO法人における最高議決機関で,年1回以上,開催しなければなりません。
その時に,電磁的方法によって表決を行うことができることが規定されています。
また,表決権は,全員平等です。会費を多く払っているから,発言力が強いといったことはありません。
表決権が平等なのが株式会社の株主総会とは異なる点です。
5 特定非営利活動法人は,特定非営利活動に係る事業に支障がない限り,利益の配当をすることができる。
NPO法人も社会福祉法人も利益の配当をすることができません。
利益を配当することができないことが,非営利の意味です。
別な言い方をすると
利益を配当することができるのが,営利組織です。
〈今日の注意ポイント〉
社会福祉法人制度改革を目的とした2016年(平成28年)の社会福祉法の改正で,それまで評議員会の設置は任意だったものが,必置の機関に変更されています。