2017年10月8日日曜日

4親等以上の親族には,扶養の義務はありません。

民法は1,000条を超えます。


明治29年にできた古い法律なので,改正を繰り返すうちに必要事項が付け加えられていった結果です。


「権利擁護と成年後見制度」の科目で覚えなければならないうち,ざっと3分の2は,民法に関連するものであると言っても過言ではないでしょう。


さて,今日のテーマは「4親等以上の親族には,扶養の義務はありません」です。


民法上の親族は,6親等以内の血族と3親等以内の姻族,及び配偶者です。



配偶者は0親等,つまり親等の上では,本人と同じということになります。

これを押さえて今日の問題です。


25回・問題81

扶養義務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 直系血族及び同居の親族は,互いに扶養をする義務がある。


2 扶養の程度又は方法については,当事者が協議で定めるものであり,家庭裁判所が定めることはできない。


3 扶養をする義務のある者が数人ある場合において,扶養をすべき者の順位については,家庭裁判所が定めるものであり,当事者が協議で定めることはできない。


4 家庭裁判所は,特別の事情がある場合であっても,四親等の親族に扶養の義務を負わせることはできない。


5 扶養を受ける権利は,特別の事情がある場合には,処分をすることができる。


ちょっと難しそうですね。

しかし,答えだけは分かると思います。


1 直系血族及び同居の親族は,互いに扶養をする義務がある。


血族の場合,親族は6親等以内までとなります。


6親等とはどこの範囲かというと,またいとこ(はとこ)です。顔も知らないかもしれません。


いくら同居していてもそれは遠すぎます。


扶養義務があるのは,直系血族及び兄弟姉妹です。


よって×


2 扶養の程度又は方法については,当事者が協議で定めるものであり,家庭裁判所が定めることはできない。


家庭裁判所は,家庭内の紛争などを担当します。

もちろん,協議が整わなかった場合は,家庭裁判所が行うことができます。

よって×。


3 扶養をする義務のある者が数人ある場合において,扶養をすべき者の順位については,家庭裁判所が定めるものであり,当事者が協議で定めることはできない。


選択肢2と同じく,協議が整わなかった場合は,家庭裁判所が行うことができます。

よって×。


4 家庭裁判所は,特別の事情がある場合であっても,四親等の親族に扶養の義務を負わせることはできない。


扶養義務があるのは,直系血族及び兄弟姉妹です。


しかし,特別の事情がある場合は,3親等以内の親族に義務を負わせることができます。

つまり4親等以上の親族には扶養義務を負わせることはできません。

よってこれが正解です。


5 扶養を受ける権利は,特別の事情がある場合には,処分をすることができる。



選択肢4が正解ですから,これは間違いなのですが,民法では「扶養請求権の処分の禁止」が規定されています。

つまり処分することはできません。

よって×。

最新の記事

ノーマライゼーションの国家試験問題

 今回は,ノーマライゼーションに取り組みます。 前説なしで,今日の問題です。 第26回・問題93 ノーマライゼーションの理念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 すべての人間とすべての国とが達成すべき共通の基準を宣言した世界人権宣言の理念として採用された。 2...

過去一週間でよく読まれている記事