国試まで4か月を切りました。
これからはますます効率的な学習が求められます。
今までは万遍なく勉強していても良かったですが,これからはそうはいきません。
得点しやすいものを中心に覚えていく方が良いです。
得意なものは点数が伸ばせます。
さて,今日のテーマは「国試合格には,覚えにくいものは捨てる勇気も必要!!」です。
0点を取ったら,何にもなりません。
そうならないために,チームfukufuku21は,問題文の読み取り方を提案して来ました。
それらを意識して読めば,そうそう0点にはならないように問題は作られています。
ぜひ今までのものを振り返っていただけましたら幸いです。
また,苦手だと思う科目の中にも比較的苦手ではない領域もあるはずです。
ぜひ模試を受験するなどして,その領域をあぶり出していきましょう。
そうすれば,苦手なものは思い切って捨てることができます。
苦労して覚えても,得点は1点。得点できなくても1点マイナスになるだけです。
社会福祉士の国試は,問題数が多いのが特徴です。
その分,1問の重みは少ないです。
その分,1問の重みは少ないです。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題88
変数の散布度(バラつき,散らばり具合)に関する次の記述のうち・正しいものを1つ選びなさい。
1 平均値と中央値の差は偏差と呼ばれ,散布度の指標としてしばしば用いられる。
2 最大値は,変数がどの程度大きな値まで広がっているかを示しているので,散布度の指標である。
3 四分位範囲(第3四分位数と第1四分位数の差)は,分布の両端からそれぞれ4分の1の測定値を捨てた後の,中央の半数の測定値の範囲であり,散布度として用いられる。
4 分散と標準偏差はいずれも散布度の指標であるが,この2つの間には必ずしも決まった関係はない。
5 散布度の指標である分散とは,個々の測定値と平均値の差の絶対値をすべて足し合わせたものである。
驚異的なほど難しい問題が出題された第25回国試ですが,その中でも特に難しい問題だったと思います。
なにこれ? と思う人もいるでしょう。
こういう問題を見せられると,「社会調査の基礎」はとてつもなく難しい科目のように思えることでしょう。
しかしはっきり言って,こんな問題は,解けなくてもともと,解けたらラッキー,というレベルのものです。
社会調査は,この手の問題を1問出題してきますが,それ以外は今まで見てきたとおり,文系人間でも何とか覚えられます。
社会調査の中では,「量的調査の集計と分析」は捨てても良い領域だと考えています。
それでは詳しく見て行きましょう。
1 平均値と中央値の差は偏差と呼ばれ,散布度の指標としてしばしば用いられる。
偏差って何? だと思います。
答えとしては,平均値と測定値の差が偏差です。
また偏差は散布度の指標ではありません。
よって×。
2 最大値は,変数がどの程度大きな値まで広がっているかを示しているので,散布度の指標である。
散布度とは,データがどの程度ばらついているかを表わすものです。
最大値と最小値を合わせると,測定値の範囲は分かりますが,その中のデータがどのような散らばりがあるのかは分かりません。
また,最大値,最小値は,とんでもない外れ値だった場合は,その範囲でさえあやしげなものとなってしまいます。
どちらにしても,散布度の指標としては使えません。よって×。
3 四分位範囲(第3四分位数と第1四分位数の差)は,分布の両端からそれぞれ4分の1の測定値を捨てた後の,中央の半数の測定値の範囲であり,散布度として用いられる。
四分位範囲の文字を見た時,どのように読むのかさえ分かりませんでした。
これは「よんぶんいはんい」と読みます。
ネットで見ると,結構たくさんの情報があるので,もしかすると,高校の数学では学ぶのかもしれません。
簡単に言うと,データを全部並べて,1/4までのところを第1四分位数,2/4までのところを第2四分数,3/4第3四分位数とします。
最初の1/4と,3/4以上のところと取ると,真ん中に全部の数の半分の範囲となります。これが四分位範囲です。
切り取った部分は,外れ値の概念に近いかもしれません。
半分の中にどれだけデータが散らばっているのかが分かります。
つまり散布度の指標となります。
よって正解です。
4 分散と標準偏差はいずれも散布度の指標であるが,この2つの間には必ずしも決まった関係はない。
標準偏差は分散の平方根を計算したものです。
なので必ず関係があります。
よって×。
5 散布度の指標である分散とは,個々の測定値と平均値の差の絶対値をすべて足し合わせたものである。
分散は,個々の測定値と平均値の差の2乗をすべて足した数字をデータ数で割ったものです。
なぜ2乗するかというと,
例えば,75点と85点のテストの平均点は,80点となります。
平均点との差は,マイナス5点とプラス5点なので,これを単に足すとそれぞれが相殺されて0になってしまいます。
2乗すると,25+25となります。
これをデータ数で割ります。
分散は25となります。
標準偏差はルート25なので5となります。
この「社会調査の基礎」で訴えたいのは,単純に平均値を出すけれど,平均値が正しく表わさないぞ,ということのように思います。
平均値は,代表値の一つですが,極端に小さい数値や大きい数値などが混ざっていると,平均値は多く変わってしまいます。
それに対して中央値は,必ずそれよりも大きい数値の数と大きい数値の数は同じとなります。
中央値を使って出されるものには,相対的貧困率があります。
先ほどのテストの点数ですが,平均点が同じ80点でも,60点と100点だったとしたら,ばらつきが大きいです。
マイナス20とプラス20なので,分散を計算すると400となります。
標準偏差はルート400なので,20です。
これはデータ数が2つしかないのでばらつきが大きいのは,直感的に分かりますが,クラス全体となると,ちゃんと計算しないと分かりません。
4つのクラスがあった場合,いずれのクラスも平均点が80点だったとしても,分散を計算してみると,ばらつきがわかります。
どのクラスの先生の教え方がうまいを考えると,分散の小さいクラスであると考えることができそうです。
この問題では,四分位範囲が正解になりましたが,出題されたのはこの時のたった一回だけです。
覚えにくくて,捨てても全然怖くないです。
それに比べて,分散は第24回,第25回,第27回というように3回も出題されています。
どちらを覚えたら良いかは明らかですね。
それさえも覚えられなかったら,これも捨てましょう。
ピアソンの積率相関係数と同じくらい,捨てでも良いものの筆頭です。