2017年10月24日火曜日

様々なアプローチの出題は2~3問! 絶対に覚えたい!!

前回紹介したように,様々なアプローチは100%です。

しかも23問も出題されます。

「相談援助の理論と方法」は問題数も多く,事例が多いので,あまり勉強しなくても点数が取れると思っている人もいるかもしれません。


国試全体で見た場合,様々なアプローチのような問題でしっかり得点できることが,得点力を上げるためのコツです。


この辺りをないがしろにして,出るか出ないか分からない人名や理論を時間をかけるのは,ナンセンスな勉強法だと言わざるを得ません。


特にこれからの限られた時間で効率的に実力アップするためには,有効に時間を使いたいものです。


それでは,昨日に引き続き,「様々なアプローチ」からの出題です。


25回・問題103 

ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 危機介入アプローチは,急性の心理的危機状態にあるクライエントに対して,新しい対処パターンを教示しつつ,長期処遇で対処能力を強化する。


2 実存主義アプローチは,実存主義思想による概念を用いて,クライエントが自らの存在意味を把握し,自己を安定させることで,疎外からの解放を目指す。


3 行動変容アプローチは,学習理論をソーシャルワーク理論に導入したもので,クライエントのコンピテンスの消去や強化により,問題行動全体の変容を図る。


4 解決志向アプローチは,社会変革のために,ソーシャルワーカーが解決イメージを提示しながら,解決方法を構築する。


5 フェミニストアプローチは,女性が体験している現実を自ら認識させ,個人が抱える問題の解決を意図した治療的なかかわりを支援の焦点とする。


今日の問題は,様々なアプローチのミックス型です。

苦手なアプローチが出て来たら対処ができないので,前回紹介した11のアプローチは絶対に押さえておきたいです。


それでは詳しく見て行きましょう。


1 危機介入アプローチは,急性の心理的危機状態にあるクライエントに対して,新しい対処パターンを教示しつつ,長期処遇で対処能力を強化する。


危機介入アプローチは,危機に陥ったクライエントや周囲の人たちに早期,かつ短期的に介入します。


危機介入アプローチは,長期処遇ではありません。よって×。


「危機介入アプローチ」「課題中心アプローチ」で「長期」という表現が出て来たら,即刻消去できます。

ここが最大の判別ポイントと言えます。


2 実存主義アプローチは,実存主義思想による概念を用いて,クライエントが自らの存在意味を把握し,自己を安定させることで,疎外からの解放を目指す。


実存主義アプローチは,この回に初めて出題されてその後はまだ出題されていないアプローチです。

しかし,今後は増えていくかもしれないと考えています。

なぜなら,このアプローチは,「人は人。人はどうであれ,あなたはあなたという存在です。

あなたが体験したことが大切なのです」ということをクライエントに気づいてもらうために用いられます

自分に自信をなくして疎外感のある不登校の生徒に対しても有効です。

社会福祉士の活動の場には,スクールソーシャルワーカーもあるので,これから注目されてよいアプローチではないでしょうか。


話を戻すとこれは正解です。


3 行動変容アプローチは,学習理論をソーシャルワーク理論に導入したもので,クライエントのコンピテンスの消去や強化により,問題行動全体の変容を図る。


行動変容アプローチ=学習理論は,テッパンだと言えます。

しかし,この選択肢には落とし穴が設けられています。

「コンピテンシー」です。

コンピテンシーは,能力開発に携わっている人にはおなじみの用語で「能力」を意味しています。

しかしこの時初めて出題されました。

一度出題されると何度もその後繰り返し出題されます。

コンピテンシーは,この回に続き,第2627回まで,実に3年連続出題されました。


さて問題に話を戻すと,コンピテンシー(能力)を上げることはあっても下げることはないです。

コンピテンシーの意味が分かっているとおかしな文章であることがわかるでしょう。

学習理論を使って強化や弱化するのは,コンピテンシーではなく,「問題となる行動」です。

よって×。


4 解決志向アプローチは,社会変革のために,ソーシャルワーカーが解決イメージを提示しながら,解決方法を構築する。


解説志向アプローチは,短期療法(ブリーフセラピー)の一つです。

クライエントが明るい未来を描けるように,コーピングクエスチョンやミラクルクエスチョンなどの技法を使うのが特徴です。これらは次回にご紹介します。

ワーカーは解決イメージを提示するのではなく,「今の問題が解決したら,何をしたいですか」など,クライエントが明るい未来をイメージできるように関わります。

よって×。


5 フェミニストアプローチは,女性が体験している現実を自ら認識させ,個人が抱える問題の解決を意図した治療的なかかわりを支援の焦点とする。


フェミニストアプローチもこの時に初めて出題されたものです。


この後第27回にも出題されています。

27回では

「フェミニストアプローチは,女性にとっての差別や抑圧などの社会的な現実を顕在化させ,個人のエンパワメントと社会的抑圧の根絶を目指す」

と出題されています。

これは正解です。


ここからフェミニストアプローチとは,おおよそエンパワメントアプローチの女性版であると押さえておけばよいでしょう。

エンパワメントですから,治療的にはかかわりません。

よって×。


様々なアプローチは,事例問題でも出題されます。


その時には「〇〇アプローチを活用した援助について,正しいものを〇つ選びなさい」といったような出題になります。



アプローチの特徴を分かっていないと解けないので,しっかり覚えて行きたいです。

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