2017年10月15日日曜日

「社会福祉調査の基礎」の中では,質的調査は覚えやすい!! 

前回は,「量的調査の集計と分析」からの出題を紹介しました。

25回は,ここから2問も出題されています。

近年は2問出題されたのは,この回だけ!


この部分は,捨てても1点マイナスになるだけです。

箱ひげ図って何? と調べるのは時間がもったいないです。

得意な人ならいざ知らす,覚えられないという人は捨てた方が無難な領域です。


さて,今日のテーマは,

「社会福祉調査の基礎」の中では,質的調査は覚えやすい!! 


です。

社会福祉調査には,量的調査と質的調査があります。

量的調査は,聞き取りやアンケートなどで得た量的データを分析する調査です。

それに対して

質的調査は,観察や面接などで得られた質的データを分析する調査です。

難しい理論は,グラウンデット・セオリーに関連するもの以外は出て来ません。


質的調査は,文系人間でも取り扱いが楽な領域です。

しっかり覚えて確実に得点したいです。


それでは,今日の問題です。


25回・問題90


調査手法としての観察法に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。


1 観察法は質的データを収集するための方法であり,量的データの収集においては用いられない。


2 統制的観察と非統制的観察の違いは,研究者が部外者として観察を行うか否かである。


3 フィールドワーカーの調査者としての立場は,「完全な参加者」から「完全な観察者」まで4段階があるが,よりよいデータ収集のためには「完全な観察者」の役割を目指すのが望ましい。


4 フィールドワークにおいて,観察されたことのメモをとる場合には,周囲の状況にかかわらず,観察を行ったその場で速やかにとることが望ましい。


5 参与観察において,その集団生活に慣れ,調査対象に同化し過ぎることは望ましくない。


今日の問題は,「観察法」に関する問題です。絶対にゲットしたい領域です。

それでは詳しく見ていきましょう。


1 観察法は質的データを収集するための方法であり,量的データの収集においては用いられない。


観察法は,質的データを収集するために使われますが,量的データの収集にも用いられます。

よって×。


例えば,歩いている人の前に障害物が現れた場合,右に避ける人が多いのか,左に避ける人が多いのか。ある場所で起きることを観察して,集計することはよくあることです。

用いられない

言い切り表現に正解少なし



お久しぶりですね。


100万回の事象の中で,1回でもそれが現れると命題が成立しなくなります。

難しかった第25回でも,やっぱり間違い選択肢を作るときの常とう手段「言い切り表現に正解少なし」は使われていることが分かります。

2 統制的観察と非統制的観察の違いは,研究者が部外者として観察を行うか否かである。



統制的観察は,観察する内容がある程度決まっている観察法です。

何を観察するか決めておけば,量的データ的に処理することが容易です。

例えば,道行く人の場合です。

事前に,年代,性別,身長などを決めておいて,観察したものを記入していきます。

統制的観察は見たまま思うままに観察したことを記録していきます。

どちらかと言えば,質的データを取る時に向いています。

研究者が部外者として観察するのは,どちらかと言えば非参与的観察に近いです。

よって×。


3 フィールドワーカーの調査者としての立場は,「完全な参加者」から「完全な観察者」まで4段階があるが,よりよいデータ収集のためには「完全な観察者」の役割を目指すのが望ましい。



この科目の問題の特徴は,望ましい,望ましくない,という表現が多いことです。

多くの場合,そのどちらの場合も間違い選択肢になることが多いのですが,第25回国試は,そんなに単純には答えを見つけさせてくれない問題が多い試験でした。


この場合は,☓です。

場面によって役割は変わります。

だから4段階があるのだと思います。完全な観察者が良いのだったら,他の3つは適切ではないことになります。

4段階ある」と言っているのに矛盾が出てしまいます。


4 フィールドワークにおいて,観察されたことのメモをとる場合には,周囲の状況にかかわらず,観察を行ったその場で速やかにとることが望ましい。


これはだめでしょう。

観察対象に警戒心を抱かせてしまいます。

速やかにメモするのは適切ですが,インタビューではないわけです。周囲の状況によっては,メモは後から行うことも必要です。

よって×。


5 参与観察において,その集団生活に慣れ,調査対象に同化し過ぎることは望ましくない。



「望ましくない」という表現になっていますが,これが正解です。


観察法は,文化人類学から生まれてきたものです。

一緒に生活しながら観察したのが,参与的観察です。

調査目的だとしたら,同化したことによって,普通なら起きないことが起きるなど,観察された事象を検証することが難しくなってしまうこともあります。

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