2017年10月21日土曜日

システム理論は,現代のソーシャルワークには欠かせない!!

今日から科目は「相談援助の理論と方法」に入ります。

この科目は21問もあり最もボリュームがあります。


他の科目より出題数が多いので二けたの得点になれば満足してしまうそうですが,苦手科目があった場合,それを逆転できる可能性があるので,できれば15点は取りたいところです。

11点なら得点率52.4%,12点なら得点率57.1%なので,合格基準の60%を上回るためには,13点以上が必要です。

15点取れても上乗せ分は2点しかないので,15点は最低ラインであり,それ以上の得点を取ることが必要です。


多くの人は,「難しい理論をしっかり覚えなくても,事例問題で取れるから大丈夫!!」だと思って,あまり勉強時間をかけない傾向にあります。


しかしその作戦が取れるのは,他に得意科目が数科目ある人だけです。

そうではない方が合格基準点を超えるためには,この科目もしっかり勉強する必要があるのです。


さて,今日のテーマは,「システム理論は,現代のソーシャルワークには欠かせない!!」です。


システム理論は,昨日の問題のジェネラリスト・アプローチにも取り入れられています。


そういう面で,システム理論は,現代のソーシャルワークでは,極めて重要なものとなります。

なぜなら,人はそれだけで存在しているものではなく,環境とのバランスの中で存在しているからです。

その時に必要なのがシステム理論です。

それでは,今日の問題です。

25回・問題98

ベルタランフィ(BertlanffyL.)の「一般システム理論」を構成する概念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 システムを,有機体としてではなく,機械論的な立場からとらえる。


2 システムを,外部環境に対して開かれている開放システムとしてとらえる。


3 システムの変容結果は,初期条件によって決定づけられるものと考える。


4 システムを要素還元主義の立場から,全体は部分の総和であると考える。


5 個々のシステムを独立したものととらえ,システム間の非階層性を強調する。


25回国試は,いつも述べているように,とんでもなく難しい問題が続きました。


その中でこの問題は,5本指の中に入るとびっきり難しい問題だと思います。


もうこんな出題はないと思いますが,詳しく解説していきますね。


1 システムを,有機体としてではなく,機械論的な立場からとらえる。


システムというと一般的には「仕組み」というイメージが強いので,「機械論的」という出題がなされたのだと思います。

しかし一般システム理論では,システムの構成要素がそれぞれ影響し合い,発展していくものととらえます。

機械的ではなく,有機的です。

よって×。


機械的,有機的と聞くと「あれっ,デュルケムはそんなことを言っていたなぁ」と思う人もいるはずです。


社会は,機械的連帯から有機的連帯へ進化すると述べたものですね。


勉強が進んでいけば,どんどんいろいろな知識がつながっていきます。

それまでは辛いかもしれませんが,それでもコツコツ勉強していけば,必ず知識がつながる時がやって来ます。


そのためには,一つひとつに時間をかけていくよりも,うろ覚えでも先に進んで,何度も何度も繰り返すのが有効だと思っています。


2 システムを,外部環境に対して開かれている開放システムとしてとらえる。


まったく意味が分かりません。

こんな時は,冷静に▲をつけます。


結果的には,これが正解です。


システムには,内部完結する閉鎖システムと,外部に開かれた解放システムがあります。ソーシャルワークが対象とするのは,そのうちの解放システムです。


3 システムの変容結果は,初期条件によって決定づけられるものと考える。


これも選択肢1と同じく,システム=仕組み,と思われがちなところからの出題だと思います。システムは,システムの構成要素が影響して新しいものが作られていきます。

社会理論ではそれを「創発特性」と名付けています。

よって×。


4 システムを要素還元主義の立場から,全体は部分の総和であると考える。


これも,システム=仕組み,という連想から作られたものだと思います。

要素還元主義というものはどのようなものかは分かりせんが,全体は部分の総和ではないことは分かります。

構成要素によっては,総和以下にしかならないこともあるでしょうし,総和以上になることもあるからです。

よって×。


5 個々のシステムを独立したものととらえ,システム間の非階層性を強調する。


システムには,階層があります。

例えば,地域社会システム,その下位システムとしての家族システムなとです。

これらが独立したものではありません。

システム理論は,システムの構成要素が関連し合っていると考えることが特徴ですが,システムの階層も関連し合っていると考えます。

よって×。

相談援助の理論と方法の出題基準では「人と環境の交互作用」が一番初めにあります。

システム理論は,この科目を学ぶ上で,もっとも基礎的なものとなる証拠です。


しかし,受験生側としては,こんな難しい問題が最初にくるのはたまったものではありませんね。

今日の問題はとても難しいものでしたが,システム理論を理解する上で必要な要素はすべて入っていると思います。

これをクリアできれば,明るい明日が開けてくることでしょう。

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