2017年10月6日金曜日

行政法の覚え方の:決定版!!

今日(10/6)が第30回の国試申し込みの締切日です。まだ申し込みをされていない方でも今日の消印有効です。

ただし,受験料は金融機関の窓口で振り込まないといけません。ATMではできませんのでくれぐれもご注意ください。

受験申込みされた方は,いよいよ国試に向けての再スタートです。

今まで,勉強を積み上げてきた方は,ここからが仕上げの時期に入っていきます。

あまり勉強が進んでいない方でも,また4か月もあります。

モチベーションを高めて,勉強に打ち込めば,必ずゴールにたどり着くことができます。

ただし,過去問3年分をどれだけ完璧に覚えても,知識は足りませんのでご注意ください。

まだ4か月もあります。

国試当日の朝,「これだけやった! だから自分は大丈夫。絶対に大丈夫!」と思うことができるように,コツコツ,コツコツ,コツコツ,勉強を積み重ねていきましょう!!


今日のテーマは「行政法の覚え方の決定版!!」です。


行政法とは,特定の法律名ではなく,行政にかかわる法律全般のことを指します。


公務員試験を受けたことがある方なら,なじみのあるものだと思います。

なじみがあるどころか,これを覚えなければ合格はないと言っても過言ではないです。

しかし,民間で働いていると,ほとんどがなじみがないものばかりなので,覚えるのはとても辛いことでしょう。


まったく覚えられなければ捨てても良いと思います。


しかし,今ならまだ捨ててしまうのはもったいないので,覚えるためのポイントをご紹介します。


行政法の特徴は,行政には一定の権限が与えられていますが,その濫用を防ぐための意味合いが強いです。


行政法のもう一つの側面は,行政が機能するためのルールを定めたものです。


今日から科目は「権利擁護と成年後見制度」に入ります。

この科目で覚えておきたいのは,前者の方です。


行政は,先述のように,一定の権限があります。

なじみのあるところでは,認可,許可,認定,命令などでしょう。これらのことを行政行為と言います。


社会福祉法人と医療法人の設立は認可,NPO法人の設立は認定でしたね。


行政行為を有効にしているのは,法的効力というものです。


この法的効力が今日の問題のテーマとなります。


ただし,行政法については,今日の問題よりも,以前に紹介した「行政不服申立て」の方が出題回数は多いです。

しっかり覚えていきたいところです。

行政不服申立てについては,介護保険法,障害者総合支援法,生活保護法など個別の法律で定めているものもありますが,基本的には一緒です。

どこに審査請求するかの違いだけです。


それでは,今日の問題「法的効力」です。


25回・問題79


行政行為の効力の原則に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。


1 国民健康保険料()滞納処分に対する行政不服申立て又は行政訴訟が提起されると,行政行為の自力執行力は停止する。


2 違法な行政行為も職権取消・争訟取消があるまでは有効なものとして取り扱われる。


3 不服申立期間・出訴期間を過ぎた行政行為は,もはやその効果を争うことができなくなる。


4 行政行為に関する職権取消及び争訟取消は,いずれも一定の期間が過ぎると取消しができなくなる。


5 重大かつ明白な瑕疵のある行政行為であっても,公定力や不可争力はある。


一見,難しそうに見える問題だと言えますが,視点を変えると答えが見えてくる問題です。


以前,中学受験を目指す小学生の実力の話を書いたことがあります。

小学生でも,内容は分からなくても,文脈で答えを導くことができます。。


さて,それではそれぞれを詳しく見て行きますね。


1 国民健康保険料()滞納処分に対する行政不服申立て又は行政訴訟が提起されると,行政行為の自力執行力は停止する。

自力執行力(執行力)とは,強制執行ができることことです。

不服申立てや行政訴訟を提起されただけでは,この効力を止めることはできません。

よって×。


行政法を覚える時のコツ1

具体的な例をイメージしてみましょう。

法律用語が分からなくても,多くの場合はこれで第一関門は突破できます。

現実的に考えてみてください。

この場合は,税金を滞納したために差し押さえされた時,審査請求したら差し押さえは一時的にされなくて済む,ということになります。

審査請求されただけで,行政行為ができなくなると行政が機能するのは極めて難しいです。



2 違法な行政行為も職権取消・争訟取消があるまでは有効なものとして取り扱われる。


これを公定力と言います。

正解です。


今日の問題には出て来ませんが,法的効力には「不可変更力」というものがあります。

不可変更力は,公定力と対になるもので,自分が行った行政行為は,自分では取り消すことができないことを言います。


行政法を覚える時のコツ2

日本語をばらして考えてみましょう。

法律用語は漢字の組み合わせでできているので,意味が何となくでも分かります。


公定力 おおやけ・が・さだめる・ちから → ここから公が定めるものには力がある。

というイメージができます。

そうすると,公が定めるものには力があるので,何かがない限り法的効力は続くと考えることができます。


3 不服申立期間・出訴期間を過ぎた行政行為は,もはやその効果を争うことができなくなる。


これを不可争力と言います。

これも正しいです。この考え方は,後述します。


4 行政行為に関する職権取消及び争訟取消は,いずれも一定の期間が過ぎると取消しができなくなる。


今日の問題では,これが一番難しいものかもしれません。


ここでは冷静に▲をつけておきます。


答えを言えば,公定力に従って法的効力があったものを,職権取消及び争訟取消によって無効とするので,一定の期間が過ぎても取消すことができます。


ここで重要なのは,不可争力があることです。

定められた期間を過ぎてしまったら,不服申立てしたり,出訴できなくなります。

つまり,つまりその期間に不服申立てあるいは出訴すれば,処分取消しの可能性があると考えることができます。

定められた期間内に出訴したのに,裁判が長引いてしまったために,取り消しするための期間が過ぎてしまった,ということでは国民が困ってしまいます。

因みに,行政事件訴訟法では,出訴期間は処分があったことを知ってから,あるいは採決から6か月と定められています。不服申し立ては,行政不服審査法で3か月です。


5 重大かつ明白な瑕疵のある行政行為であっても,公定力や不可争力はある。


これは選択肢4の次に難しいものだと思います。


行政法を覚える時のコツ3

最初に述べたように,行政法の特徴は,行政には一定の権限が与えられていますが,その濫用を防ぐための意味合いが強いです。その視点で覚えてみましょう。

この場合,たとえば,何の問題もない事業所が,監督官庁のミスによって,解散命令を出してしまった,ということを考えてみます。

とんでもないことですよね。

公定力があったらたまったものではないです。


このような場合は,最初から行政行為自体が無効となります。

濫用を防ぐためなのですから当然と言えるでしょう。

よって×。


さて,最初に話題に振っておいた小学生の視点です。

選択肢2は正解にできなかったですが,問題を見て選択肢3は正しいと言いました。

なぜか。

ルールを決めているのに,ルールをやぶったら話にならないでしょ?



とのことです。

この場合のルールは,期間ですね。

ここまでOKですよ。どうぞどうぞ,と門を開けているのに,門が閉まった後に,開けてくれ~,というのはルール違反だということです。

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