国家試験の前に,何を出題するのかをメンバーで話し合った結果,複数の科目に出題される可能性の高いものとして「市町村と都道府県の役割」を取り上げることにしました。
<国・都道府県・市町村の役割の基本形>
国の役割 ➡ 基本指針などを示す。
都道府県の役割 ➡ 医療に関するもの,専門職の確保,現場職員の人材育成に関するもの,サービス評価に関するもの,体力のない市町村の調整,事業者の指定,など。
市町村の役割 ➡ サービス受付の窓口,報酬の支払い,事業者の指定,など。
ざっくりと洗い出すとこんな感じです。
重なっているのは,事業者の指定です。
事業者の指定は,基本的には都道府県の役割ですが,権限移譲で市町村が行っているものもあります。
都道府県 ➡ 介護保険サービス事業者(地域密着型サービスを除く),一般相談支援事業者,など。
市町村 ➡ 地域密着型サービス事業者,地域密着型介護予防サービス事業者,介護予防支援事業者,居宅介護支援事業者,特定相談支援事業者,など。
それでは,今日の問題です。
第34回・問題43
福祉行政における市町村の役割に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護支援専門員実務研修受講試験及び介護支援専門員実務研修を行う。
2 社会福祉法人の設立当初において,理事の選出を行う。
3 特別養護老人ホームの設備及び運営について,条例で基準を定める。
4 訓練等給付費の不正請求を行った指定障害福祉サービス事業者について,指定の取消しを行う。
5 小学校就学前の子どものための教育・保育給付の認定を行う。
前説では書きませんでしたが,児童に関しては,市町村と都道府県の役割がわかれています。
通所に関するもの ➡ 市町村の役割
入所に関するもの ➡ 都道府県の役割
児童の入所系サービスは,児童福祉法に定められています。
子ども・子育て支援法に規定されるものには,入所系サービスは存在しません。すべて通所系です。
ということで,正解は,選択肢5です。
5 小学校就学前の子どものための教育・保育給付の認定を行う。
通所に関するもの ➡ 市町村の役割
入所に関するもの ➡ 都道府県の役割
これはとても重要です。
これ以外も解説します。
1 介護支援専門員実務研修受講試験及び介護支援専門員実務研修を行う。
専門職の確保は,都道府県の役割の典型です。
2 社会福祉法人の設立当初において,理事の選出を行う。
社会福祉法人の設立認可は,都道府県の役割です。しかし,理事の選出は,地方公共団体が関与するものではありませせん。設立予定者が選出します。当然です。
3 特別養護老人ホームの設備及び運営について,条例で基準を定める。
基盤整備は,都道府県の役割の典型例です。
4 訓練等給付費の不正請求を行った指定障害福祉サービス事業者について,指定の取消しを行う。
指定の取消しを行うのは,指定した者です。
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスには,介護保険法のような市町村が関与する地域密着型サービスはありません。
つまりすべて都道府県知事が指定します。取消すことができるのは都道府県知事です。
ただし,障害者総合支援法でも,指定特定相談支援事業者の指定だけは,市町村の役割です。
〈今日の注意ポイント〉
<国・都道府県・市町村の役割の基本形>を押さえれば,どんな問題にも対応可能です。
これを試験前の最後の学びとして,国家試験に臨んできてください。