第37回国家試験から,令和元年度カリキュラムによる国家試験に移行します。
前のカリキュラムで受験資格を得た人も,研修など特別な手続きをせずとも,受験することができます。
科目が再編されているので,それに伴い,この学習部屋もリニューアルする予定です。
気にかかっているのは,福祉行財政と福祉計画で出題されていた内容です。
この科目は,「地域福祉と包括的支援体制」と「社会福祉の原理と政策」などの科目に組み込まれます。
多くの内容は,地域福祉と包括的支援体制に含まれます。
そうすると,地域福祉の理論と方法で出題されてきた内容に加えて,福祉行財政と福祉計画の内容となるので,科目のボリュームが大きくなります。受験する人は相当な覚悟が必要でしょう。
さて,今日は,福祉行財政と福祉計画で出題された問題です。
第36回・問題45
「令和5年版地方財政白書(令和3年度決算)」(総務省)に示された民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 歳出純計決算額は,前年度に比べて減少した。
2 目的別歳出の割合は,都道府県では社会福祉費よりも災害救助費の方が高い。
3 目的別歳出の割合は,市町村では児童福祉費よりも老人福祉費の方が高い。
4 性質別歳出の割合は,都道府県では繰出金よりも人件費の方が高い。
5 性質別歳出の割合は,市町村では補助費等よりも扶助費の方が高い。
何度も出題されてきた内容なので,今の受験生は正解できると思います。
今後は,独立した科目がないので,そんなに頻出ではなくなるはずです。
ほかに出題すべきことがたくさんあるためです。
しかし,しっかり押さえておきたいです。
それでは解説です。
1 歳出純計決算額は,前年度に比べて減少した。
前年度よりも減少するというのは,何かの理由がなければなりません。
見当たらなければうそです。
もちろん増加しています。
2 目的別歳出の割合は,都道府県では社会福祉費よりも災害救助費の方が高い。
日本では災害はよく起きますが,一つの自治体を考えた場合,それほどあることではありません。
それに比べると,社会福祉にかわわることは,どの自治体でも必要です。
そのように考えると,社会福祉費のほうが多いと考えることができます。
3 目的別歳出の割合は,市町村では児童福祉費よりも老人福祉費の方が高い。
市町村で最も多いのは,児童福祉費です。
都道府県で最も多いのは,老人福祉費です。
純計で最も多いのは,児童福祉費です。
老人が多いので,老人福祉費も多いのではないかと思いますが,民生費は,社会福祉にかかる費用です。高齢者の介護サービスは,社会保険制度で運用しているために,民生費に含まれません。
4 性質別歳出の割合は,都道府県では繰出金よりも人件費の方が高い。
繰出金のほうが高くなっています。
5 性質別歳出の割合は,市町村では補助費等よりも扶助費の方が高い。
市町村は,扶助費等が高い
都道府県は,補助費が高い
ということで,これが正解です。
この問題を一応解説しましたが,次に出題されるのは,何年後のことでしょうか。
因みに,「地域福祉と包括的支援体制」は,9問の出題となります。
全体では,129問の出題です。つまり現在よりも少なくなります。
第1・2回の問題数は分かりませんが,第3~5回は,170問,第6回~36回が150問,第37回以降は,129問となります。