第36回国家試験は,平成19年度カリキュラムの最後だったということもあるのか,懐かしいリバイバル問題があります。
その1つが,今日のテーマのロスマンのコミュニティ・オーガニゼーションモデルです。
ロスマンの出題は,かつてはよく出題されていました。
第7回(追試)
第9回
第16回
第19回
第20回
第22回
第36回
最後に出題されたのは,第22回です。一般的な過去問では対応できません。参考書などで学ぶ必要があります。
最初に出題された問題です。
第7回(追試験)・問題64
我が国の地域組織化活動の研究に影響を及ぼした理論の中で,小地域開発モデル,社会計画モデル,ソーシャル・アクションモデルとして実践枠組を検討したのは次のうち,だれか。正しいものを一つ選びなさい。
1 ダナム(Dunham,A.)
2 ロストウ(Rostow,W.W.)
3 ロス(Ross,M.G.)
4 ロスマン(Rothman,J.)
5 ニューステッター(Newstetter,W.)
正解は,「4 ロスマン」です。
この知識だけでも,第36回の問題は解けそうですが,一応詳しく紹介しておきます。
ロスマンのコミュニティ・オーガニゼーションのモデル
小地域開発モデル |
住民がグループでの取組を通して問題解決を図れるようにする活動。 |
社会計画モデル |
専門的な機関や専門職が地域の問題について情報を収集・分析し,合理的な取り組み方を決めて実施する活動。 |
ソーシャルアクションモデル |
社会福祉の制度やサービスの創設・改善・維持を目指す活動 |
内容は,よくわからなくても,この3つがうることだけを覚えておきます。
それでは,今日の問題です。
第36回・問題108
ロスマン(Rothman,J.)が1960年代に提唱したコミュニティ・オーガニゼーション実践のモデルに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 組織化モデルとは,住民の地域生活支援を目標として,当事者の個別支援と連動させて,地域の生活基盤の整備に向けた地域支援を展開する方法である。
2 小地域開発モデルとは,不利な立場に置かれた人々が直面する状況を自らの力では変革できない時に,同じ問題意識を共有する人々と連帯し,権力構造に対して政治的に働きかける方法である。
3 社会計画モデルとは,住民や当事者が求めるサービスや資源の提供を達成するために地域のニーズを調査して,サービス提供機関間の調整を図る方法である。
4 ソーシャルアクションモデルとは,地域が求める目標を達成するために,サービス提供機関が地域の資源を利用して活動を推進する方法である。
5 統合モデルとは,地方自治体による政策実践と,福祉施設等における運営管理実践を一体のものとして,地域を変革することを主たる目標とする方法である。
ロスマンの述べたものではないのは,選択肢1と5。消去できます。
まだ詳しくは調べていませんが,おそらくこの2つは,ロスによるコミュニティ・オーガニゼーションのモデルではないかと思います。
2 小地域開発モデルとは,不利な立場に置かれた人々が直面する状況を自らの力では変革できない時に,同じ問題意識を共有する人々と連帯し,権力構造に対して政治的に働きかける方法である。
3 社会計画モデルとは,住民や当事者が求めるサービスや資源の提供を達成するために地域のニーズを調査して,サービス提供機関間の調整を図る方法である。
4 ソーシャルアクションモデルとは,地域が求める目標を達成するために,サービス提供機関が地域の資源を利用して活動を推進する方法である。
選択肢2には,「政治的に働きかける」というフレーズがあるので,ソーシャルアクションっぽいと考えられます。
そうすると,選択肢4も消去できます。
その結果として,選択肢3が残ります。
3 社会計画モデルとは,住民や当事者が求めるサービスや資源の提供を達成するために地域のニーズを調査して,サービス提供機関間の調整を図る方法である。
そして,これが正解です。