ソーシャルワークは,極めて科学的な実践です。
そのために,多領域にわたる知識を学びます。
ソーシャルワーク自体は,業務独占ではないので,資格がなくても行うことができます。
しかし,ソーシャルワークを専門的に学んだ人のソーシャルワークは,とても深いものであり,対人援助には根拠があります。
社会福祉士の国家試験を受験する人には,2つの種類に分けられます。
1つは,大学で学んで,就職のために資格が必要な人です。不合格になると内定自体も取り消されてしまうこともあります。
そのために,かつては3月末に行われていた合格発表を今は前倒しで行っています。
もう一つは,社会人の受験です。この中には,転職を考えている人もいると思いますが,すでに相談援助職として働いている人もいます。
資格を取るのは,本人のスキルアップのためです。
資格を取ったからといって何かが劇的に変わることはないと思うとモチベーションも下がりがちです。
そういった方々にぜひ解いてもらいたい問題を今回は取り上げたいと思います。
第32回・問題109
カデューシン(Kadushin,A.& Kadushin,G.)が示した,「会話」と「ソーシャルワーク面接」の相違に関する記述として,正しいものを1つ選びなさい。
1 「ソーシャルワーク面接」と比べて,「会話」には意図的な目的が存在している。
2 「ソーシャルワーク面接」と比べて,「会話」では参加者間に明確な役割分担がある。
3 「ソーシャルワーク面接」と比べて,「会話」の参加者はしばしば文化的に異質である。
4 「会話」と比べて,「ソーシャルワーク面接」には参加者間に平等な権威と力がある。
5 「会話」と比べて,「ソーシャルワーク面接」ではスピーチのパターンが構造化されている。
正解は,選択肢です。
5 「会話」と比べて,「ソーシャルワーク面接」ではスピーチのパターンが構造化されている。
スピーチのパターンが構造化しているとは,ソーシャルワーク面接は,明確な目的をもち,その目的に合わせて組み立てられるものである,といった意味です。
相談援助は,業務独占ではありません。多くの福祉現場では,社会福祉主事の任用資格があれば,相談員となることができます。
主事資格を社会に出てから取得するのはかなり難しいですが,大学や短大を卒業した人はとても簡単に取得することができます。これを3科目主事といいます。ソーシャルワークの専門科目を学ばずとも取得できます。
社会福祉士の国家試験の受験資格をもつ人は,ソーシャルワークに関する必要な知識を身につけています。今日の問題の答えのとおりです。
〈今日の注意ポイント〉
資格取得の過程で学んだことは,かけがえのないものです。
今日の問題のようなものが出題されるとびっくりするかもしれません。しかし,社会福祉士の国家試験なので,社会福祉士になるのに必要なものが問われます。
答えがわからない時は,そこを考えると良いです。必ず得点力がアップします。短期間でも得点力がアップします。忘れないでください。
なお,今日の問題を正解するには「構造化」の意味を知っている必要があります。
構造化は,社会福祉調査で,構造化面接を学んでいます。事前に組み立てられた質問をしていくのが構造化面接です。そこから意味を推測して答えを引き出します。
社会福祉士の国家試験で必要な柔軟な思考は,ソーシャルワーク実践そのもののようにも思います。国家試験は実に深いものです。