2024年2月27日火曜日

しっかり覚えるコツ

 

まずは,昨日の振り返りから。

 

 

◎冷静沈着さが得点力を増す。

 

 当たり前だ,と思われる方が多いと思います。


しかし,その当たり前なことが当たり前にできなくなるのが,国試です。

 

国試会場では,雰囲気にのまれて普段通りの力を発揮できないものです。 

野球のメジャーリーグで活躍したイチローさんは,毎回同じスタイルでピッチャーの投げる球を待ちました。彼のルーティーンです。

 

ルーティーンとして紹介した「問題用紙に,しっかり〇×をつけること」は,実は簡単ではありません。

しかし,簡単ではないことが試験当日にも忘れることなくできたとすると,あなたは国試に勝っています。

 

 出題者も味方につけることができることでしょう。


 

 それでは,今日の問題です。


 

 第26回・問題9

レスポンデント(古典的)条件づけとオペラント(道具的)条件づけに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 レモンを心の中でイメージしていると,次第に睡液が出てきた。これはオペラント条件づけである。

2 池のコイにエサを毎日与えていたら,池に近づいていくとコイが素早く寄ってくるようになった。これはレスポンデント条件づけである。

3 イヌが前足を出そうとしたときに,その行動をほめていたら,「お手」をするようになった。これはオペラント条件づけである。

4 プラナリアという原始的生物に,光を当てた後に電気ショックを与えていた。すると光を当てるだけで収縮するようになった。これはオペラント条件づけである。

5 ボタンをつつくとエサの出る装置にハトを入れたら,ボタンを盛んにつつくようになった。これはレスポンデント条件づけである。


心理学と心理的支援の問題です。

 

過去問を解く意味は,「正解できる」ことではなく,その問題のポイントをしっかり押さえていくことです。

 

 レスポンデント条件づけはオペラント条件づけとセットで覚えなければなりません。

  

しかも2つ覚えなけれはならないものは,それぞれを混同させるように出題するのは,国試の常とう手段です。

 

 レスポンデント条件づけ

 

刺激(S)が反応(R)に変わること。SRの間には,何も介在しません。

 

例:梅干しを見ると唾液が出る。

 

梅干しを見る(S) ⇒ 唾液が出る(R

 

  

オペラント条件づけ

 

ある自発的な行動の後に賞罰をつけることで自発的に新たな行動をするようになること。

 

ある行動 ⇒ 賞罰 ⇒ 新たな行動

 

 

レスポンデントと違い,賞罰が関与しています。

 

 

例:檻に入れられたネズミが,檻の中にあるレバーを押すと餌が出ることを知った後,ネズミはレバー押し行動を増加させた。

 

レバーを押す(ある行動) ⇒ 餌が出る ⇒ レバー押し行動を増加させた(自発的な新たな行動)

  

餌が賞罰です。

  

子どもの行動をほめる ⇒ 賞

 

子どもの行動をしかる ⇒ 罰

 

オペラントは,賞罰を伴うことが特徴です。

レスポンデントは,賞罰を伴いません。

 

 これをもとに問題をみてみましょう。

 

 1 レモンを心の中でイメージしていると,次第に睡液が出てきた。これはオペラント条件づけである。

 

レモンをイメージ(刺激) ⇒ 唾液が出てきた(反応)

 

賞罰は伴っていません。レスポンデントです。

 

よって×。

  

2 池のコイにエサを毎日与えていたら,池に近づいていくとコイが素早く寄ってくるようになった。これはレスポンデント条件づけである。

 

コイにエサを毎日与える(賞罰) ⇒ 池に近づいていくとコイが素早く寄ってくるようになった。(自発的な行動)

 

賞罰による学習が,自発的な行動を生じさせています。オペラントですね。

 

よって×。

 

 

3 イヌが前足を出そうとしたときに,その行動をほめていたら,「お手」をするようになった。これはオペラント条件づけである。

 

イヌが前足を出そうとした ⇒ その行動をほめる(賞罰) ⇒ 「お手」をするようになった

 

ほめること(賞罰)が,お手をするようになったという行動を生じさせています。オペラントそのものですね。

 

よって〇。

 

動物に芸を教え込むのは,オペラント条件づけの応用です。

 

 

4 プラナリアという原始的生物に,光を当てた後に電気ショックを与えていた。すると光を当てるだけで収縮するようになった。これはオペラント条件づけである。

 

レスポンデント,オペラントの違いを理解していれば,迷いなくイヌの「お手」を正解にできたと思います。

 

ここで迷った人は,引っ掛けられてしまいます。

 

光 ⇒ 電気ショック(賞罰) ⇒ 光を当てるだけで収縮する

 

このように考えさせようという出題者の意図が見えます。

 

正しくは,

 

電気ショックを与える(刺激) ⇒ 収縮する(反応)

  

つまり,レスポンデントです。

 

よって×。

 

梅干しを見ると唾液が出ると一緒です。

 

 5 ボタンをつつくとエサの出る装置にハトを入れたら,ボタンを盛んにつつくようになった。これはレスポンデント条件づけである。

 

ボタンをつつく ⇒ エサが出る(賞罰) ⇒ ボタンを盛んにつつく

 

賞罰が伴っているので,オペラントですね。よって×。

  

このようにして,オペラントとレスポンデントの違いがしっかり理解できました。

 

しかし,明日になったら,賞罰が伴うのはどっちだったか忘れてしまうこともあるでしょう。

  

2つある場合は,混同させるように出題させるように出題するのは国試の常とう手段です。

 

そのため記憶を定着させるもう一工夫が必要です。

 

覚え方の例

 

 レスポンデントは,レスポンス(反応)からきています。

 

⇒ 刺激が反応に変わるレスポンス

 

オペラントは,オペレーション(操作)からきています。

 

⇒ 賞罰で操作するオペレーション

 

 

 どちらか覚えやすいほうに着目して覚えるようにします。

 

両方覚えるのは効率が悪いので,片方だけでよいです。

確実に,しかも効率よく覚えるコツでもあります。

 

 

今日の教訓

 

 

覚え方にはコツがある!

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