2024年2月22日木曜日

言い切り あいまい どちらが正解になりやすい?

第26回・問題5

認知症に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 アルツハイマー型認知症の治療に用いられる薬物は,現在,存在しない。

2 レビー小体型認知症では,パーキンソン症状を生じることはまれである。

3 血管性認知症は,生活習慣病(糖尿病,脂質異常症,高血圧など)が原因となっていることが多い。

4 正常圧水頭症による認知症は,外科手術で回復することがある。

5 認知症に伴うせん妄は,夜間よりも昼間の方が多い。



この問題は2つ選ぶものです。


うっかり見落としたらもったいな~い・・・


第36回国家試験から,2つ選びなさい


とアンダーラインが引かれるようになったので,見落としは,この時よりも少ないかもしれません。


見落とすことがなくても,1つ選ぶ問題よりも2つ選ぶ問題は正解するのは難しい。


ただし,この問題の難易度自体はそんなに高い問題ではないかもしれません。


私たちチームfukufuku21は,答えそのものよりは,問題文に着目しました。


楽勝問題ですが,この問題からも教訓を見つけることができました。


言い切り表現とあいまい表現なら,どちらが正解になりやすいと思いますか?


言い切り表現の「存在しない」の場合・・・


1つでも存在してしまうと,「存在しない」という状況は崩れてしまいます。



あいまい表現の「ことがある」の場合・・・


めったにないことだけれど,それが100万回に1回でも起こったら,「ことがある」という状況は成り立ちます。


つまり・・・


言い切り表現 ⇒ 1つでも存在したら,その状況は成り立たない。


あいまい表現 ⇒ 1つでも存在したら,その状況は成り立つ。



広い世の中です。いろいろなことが起きます。


さて,もう一度同じ質問をしますね。



言い切り表現とあいまい表現なら,どちらが正解になりやすいと思いますか?


はい,その通り。あいまい表現の方が正解になりやすいことになります。


もし,どうしても答えがわかりにくい時は,あいまい表現になっているがないか,に着目して答えを探すのも良いでしょう。


さてさて・・・・・・


今日の問題の正しい選択肢から見ていきましょう。


正しいものは,3と4の選択肢でした。



3 血管性認知症は,生活習慣病(糖尿病,脂質異常症,高血圧など)が原因となっていることが多い。



これは,そんなに手ごわくないかもしれません。これは1つめの答えとして,すぐ選べたのではないでしょうか。



4 正常圧水頭症による認知症は,外科手術で回復することがある。



正常圧水頭症って何? 勉強したことがないからわからない,と感じちゃったらダメです。


「回復することがある」。


ものすごくあいまい表現ですね。


10万人の患者の手術を行って,1人でも回復すれば,この問題は成立します。


手術の成功確率はわずかですが,1例でも成功例があれば良いです。


おそらく,これが正解になりそうですが,この時点では▲をつけておきましょう。


1 アルツハイマー型認知症の治療に用いられる薬物は,現在,存在しない。


これは言い切りなので間違いになりやすいですね。


実際に,よく知られるものでアリセプトやメマリーなどがあります。


したがって,間違い。



2 レビー小体型認知症では,パーキンソン症状を生じることはまれである。


これはテッパンと言ってもよいのでは?

レビーと言えば,パーキンソン症状,はっきりとした幻視が特徴です。


5 認知症に伴うせん妄は,夜間よりも昼間の方が多い。


「せん妄」って何? 


せん妄がわからないとお手上げになりそうです。


せん妄  ⇒  意識が混乱した状態になること。


せん妄は,夜間と昼間がどっちが多い?


これも知識がないとちょっと難しいかも・・・


しかし,ここでまたまた教訓を発見!!


「●●よりも▲▲の方が多い」 が正解文だった場合,



「▲▲よりも●●の方が多い」 のように前後を入れ替えます。



するとチョー簡単に間違い文章が一丁出来上がります。



「よりも」問題の例(第29回国家試験)


発症に生活習慣の関与が強いのは,2型糖尿病  よりも 1型糖尿病である。

非経済的幸福 よりも 経済的幸福を重視している。

生活保護法による生活扶助は,居宅 よりも 保護施設において行うことが優先される。

年齢階級別の割合をみると,61歳以上の医療費 よりも 61歳未満の医療費の方が高い。



これらは,すべて☓☓☓☓です。



第29回で「よりも問題」で正解だったのはたった一つ。


これだけです。


  ↓    ↓    ↓


問題の原因の追求 よりも ,クライエントのリソース(能力,強さ,可能性等)を活用することを重視する。



第29回の「よりも問題」の正しかった数と間違いだった数は・・・


正しかった数 1


間違いだった数 5



どうやら「よりも問題」は,間違いの選択肢をつくるときの道具の一つになっていると言えそうです。


試験を問題では,作問者の意図通りに間違い選択肢は確実に間違い文になってくれないと不適切問題になってしまいます。


そのために,試験委員は不本意かもしれませんが,「よりも問題」のようなものを作らざるを得ないのかもしれません。


このようなものは,他にもたんさん存在しています。


しかし,しかし・・・


ここでは,あまり明らかにしないようにします。


なぜなら,しっかり身についていなければ,限られた時間の中で答えを見つけ出すとき,かえって時間がかかってしまうことになります。


自分で見つけ出したものは,人に教えられたものよりも確実に使える武器になるからです。


そうすると,確実に本試験の点数は上がりますよ。


確実に使える武器にするためには・・・


過去問を解くときには,こういうものがないか,気をつけながら問題文を読むようにしてください。


何回か受験を経験した方へ


これを特に心がけて勉強しましょう。


あなたが合格するためには知識も大切ですが,受験テクニックを身につけることが重要です。


今日の教訓


●言い切り表現には正解少なし。


●「よりも問題」に正解少なし。


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