合格基準点よりも数点足りなくて合格できないのはとても悔しいことですね。
知識が足りなかったと思う瞬間でしょう。
まずは,昨日の振り返りから・・・
取れる問題は落とさないこと。
過去問解説では・・・問題〇は,何を読んでいれば解ける問題でした,と書かれていることがあります。確かに知識的にはそうかもしれないです。
でも・・・でも・・・でも・・・国試では何が起きるかわからない・・・
普段しないような読み間違いはしょっちゅうです。
知識的には,●●をやっていれば解ける可能性があるかもしれません。
実際にあの緊張感あふれる中で通常通りの実力を発揮するのはそんな簡単ではないです。
それでは,今日の問題です。
第26回・問題8
マズロー(Maslow,A.)の人間の動機又は欲求理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 生理的欲求と承認欲求がかなり満足されたものになったら,さらに上位にある愛情を求めたくなると同時に,所属への渇望が生じるようになる。
2 幼児の場合,恐怖又は危険に対する反応が直接的かつ明瞭に出現するのは,幼児はこの反応を抑制しないからだと考えられている。
3 自己実現の欲求には,資格保持や社会に示す自信といった自尊心にかかわるものと,他者から受ける尊敬とか尊重と定義できる評判や名声,他者からの理解などがある。
4 承認又は自尊心の欲求が満たされれば人は安堵感を覚え,その後に不安や不満,又は新たな欲求が生じることはない。
5 音楽家は音楽を作り,画家は絵を描くように,人間は自分のなり得るものになりたいという欲求をもつ。これを承認の欲求と呼んでいる。
マズローの「欲求の階層説」に関する問題です。
知ってる,知ってる・・・過去問やワークブックなどで何度もやった問題です。
マズローの覚え方はいろいろあると思いますが,動物的に覚えると・・・
<第1段階> 生きるために食べる。 ⇒ 生理的欲求
<第2段階> 生き残るために安全を求めて洞窟の中で生活する。 ⇒ 安全・安定の欲求
<第3段階> 群れをつくる。 ⇒ 所属・愛の欲求
<第4段階> 群れの中で認められたい。リーダーになりたい。 ⇒ 自尊・承認の欲求
<第5段階> なりたい自分になりたい。 ⇒ 自己実現欲求
第1~4段階までが,欠乏欲求。第5段階は成長動機ですね。
この知識をもとに各選択肢を見てみましょう。
1 生理的欲求と承認欲求がかなり満足されたものになったら,さらに上位にある愛情を求めたくなると同時に,所属への渇望が生じるようになる。
生理的欲求は第1段階,承認欲求は第4段階,所属・愛の欲求は第3段階。
承認欲求よりも所属・愛のほうが下位ですね。これは間違いだと言えそうです。
2 幼児の場合,恐怖又は危険に対する反応が直接的かつ明瞭に出現するのは,幼児はこの反応を抑制しないからだと考えられている。
知らない・・・わからない・・・どうしよう・・・
1つ目の選択肢が解けて安心していたら,2つ目は勉強したことがないものが出て来ました。
やさしめの選択肢を先に置いて,その後に難しめの選択肢を配置するのは,この国試の常とう手段
この時点で,
おそらく多くの受験者は「今年の国試の出題傾向が変わった」と思うはずです。実際には,ほとんど変わっていないのですが・・・
この選択肢は,この時点では答えが〇か×か分からないので,▲をつけておきます。
結果的に,この選択肢が正解です。
3 自己実現の欲求には,資格保持や社会に示す自信といった自尊心にかかわるものと,他者から受ける尊敬とか尊重と定義できる評判や名声,他者からの理解などがある。
よく読めば,自尊・承認の欲求だとわかると思いますが,前の選択肢を読んだ後には,冷静さを保つのはとても難しいものです。ペースがすっかり狂っているからです。
4 承認又は自尊心の欲求が満たされれば人は安堵感を覚え,その後に不安や不満,又は新たな欲求が生じることはない。
よく考えると,欲求が満たされた後でも不安や不満をもつことはよくあることだと思えると思います。
しかし,試験会場では,欲求の階層説は,下位の欲求が満たされることで,より高次の欲求を満たそうとする,ということが頭に浮かんできて,正解にしてしまった人もいると聞きました。
5 音楽家は音楽を作り,画家は絵を描くように,人間は自分のなり得るものになりたいという欲求をもつ。これを承認の欲求と呼んでいる。
よく読むと,自己実現欲求のことを言っているのがわかると思います。これは多くの人が☓をつけることができたことでしょう。
この問題の正解は選択肢2です。
受験生は,
わかりそうなものの中から答えを選ぶ
という解答傾向があります。
そのため,本当は▲だった選択肢2を格上げして〇とすべきですが,▲を〇に格上げできずに,3か4を選んでしまう,ということが出て来ます。
これが,国試の時は解けなかったのに,家に帰ったら解けた,というメカニズムの一つだと考えられます。
取れる問題は落とさないこと。
言うは易し。行うは難し。です。
なぜなら,一見易しそうに見える問題でも,簡単には正解できないようなひと工夫がなされているからです。
ちょっと難しめな選択肢を挟むことで冷静さを失わせ,簡単な選択肢の読み間違いを誘うというひと工夫です。
攻略法は?
冷静さを保つこと・・・ これも言うは易し。行うは難し。ですね。
いろいろな方法があると思います。
問題を解く時のルーティーンを作ること もその一つ。
チームは,fukufuku21は・・・
問題文に〇☓をしっかり書き込むこと
をおすすめします。
後から見て,どれを正解にしたのかわからない問題は,かなりの混乱した結果と言えます。
少しだけ手間がかかってしまいますが,マークする前に,〇はしっかりして,×はしっかり☓をつけてからマークすると,冷静さを保つことができることが多いようです。
ただし,これはいつも練習してしっかりとルーティーンにしておくことが大切なのは言うまでもありません。
取れる問題は落とさないこと。
しかし,言うは易し。行うは難し。
試験会場では今まで紹介してきたように,問題文を冷静に読むことが難しいからです。
解ける問題が解けないのは,決して知識がないからではありません。
国試会場で冷静さを保つ工夫をすることも大切です。
今日の教訓
◎冷静沈着さが得点力を増す。