2024年1月16日火曜日

児童相談所について

児童相談所の出題頻度は極めて高いです。


どのように出題されてもよいくらいの知識を持って国家試験に臨みたいものです。


今日は,設置と業務がセットとなった問題を取り上げます。重要ポイントがまとまっていて,良い問題だと思います。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題142

児童相談所の設置及び業務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 都道府県及び政令指定都市・中核市は,児童相談所を設置しなければならない。

2 児童相談所長が行う一時保護は,保護者の同意なく1か月を超えてはならない。

3 児童相談所長は,児童本人の意に反して一時保護を行うことはできない。

4 児童相談所長は,児童等の親権者に係る民法の規定による親権喪失の審判の請求を行うことができる。

5 管理栄養士の配置又はこれに準ずる措置を行うものとする。


勉強不足の人は,5分の1以上の確率で正解することはかなり難しい問題です。

こういった問題が社会福祉士の国家試験の理想です。


知識がなくても消去できてしまう選択肢が混じっている問題は,あまり良い問題ではないからです。


それでは,解説です。


1 都道府県及び政令指定都市・中核市は,児童相談所を設置しなければならない。


児童相談所の設置義務があるのは,都道府県と政令指定都市です。


中核市と特別区(今ある特別区は東京23区のみ)は,設置義務はありません。

任意で設置することができます。


2 児童相談所長が行う一時保護は,保護者の同意なく1か月を超えてはならない。


一時保護の期間は,2か月を超えてはなりません。


ただし,児童相談所長又は都道府県知事がその必要を認めるときは,引き続き一時保護を行うことができます。


その際,親権者又は未成年後見人の意に反する場合,家庭裁判所の承認を得ることが必要です。


3 児童相談所長は,児童本人の意に反して一時保護を行うことはできない。


一時保護は,その必要性に応じて実施されます。本人,親などの意にかかわらず,必要であれば実施します。


自己決定の原則などと言っている場合ではありません。


4 児童相談所長は,児童等の親権者に係る民法の規定による親権喪失の審判の請求を行うことができる。


これが正解です。児童相談所長は,親権喪失および親権停止の審判の請求を行うことができます。


児童相談所長のほかに親権喪失および親権停止の審判の請求を行うことができるのは,


・児童本人

・児童の親族

・検察官

・未成年後見人

・未成年後見監督人


です。


5 管理栄養士の配置又はこれに準ずる措置を行うものとする。


児童相談所は生活施設ではないので,管理栄養士等は配置されません。


〈今日の注意ポイント〉


親権喪失および親権停止の審判の請求者は,児童本人が含まれます。


これは,「児童の権利に関する条約」で児童の「能動的権利」を認めていることに従っているためです。


児童の権利に関する条約は,児童は愛され守られる権利である「受動的権利」に加えて,意見表明や結社の自由などの「能動的権利」を保障していることが特徴です。

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