「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」は,毎年公表されていますが,母数があまりに少なすぎて,国家試験で取り扱うには向かないデータです。
第19次報告(令和5年9月)
心中以外の虐待死は,50件に過ぎません。
一番多い年でも,100件はありません。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題136
社会保障審議会児童部会に設置された児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第14次報告)」(2018年(平成30年))に示された心中以外の虐待死に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 死因となる虐待の種類は,ネグレクトが最も多い。
2 主たる加害者は,実父が最も多い。
3 虐待通告を受理した後,48時間以内に安全確認をすることを新たに提言した。
4 死亡した子どもの年齢は,0歳が最も多い。
5 児童相談所が関与していた事例が半数を超えている。
この中で,特に覚えておいてほしいのは,選択肢2と選択肢4です。それを頭の隅に置いておいてください。
それでは,解説です。
1 死因となる虐待の種類は,ネグレクトが最も多い。
死因となる虐待の種類は,年度によって異なります。数が少ないので,当然と言えば当然でしょう。
因みにこの年は,身体的虐待が最も多かったですが,ネグレクトが最も多かった年もあります。
2 主たる加害者は,実父が最も多い。
主たる加害者は,実母が最も多くなっています。これはどの年度も同様です。
3 虐待通告を受理した後,48時間以内に安全確認をすることを新たに提言した。
虐待通告を受理した後,48時間以内に安全確認をすることは,「48時間ルール」といいます。
48時間ルールは,もっと前の2007年(平成19年)に出されています。
4 死亡した子どもの年齢は,0歳が最も多い。
これが正解です。
これはずっと同じです。この背景には,「予期しない妊娠/計画していない妊娠」があると考えられています。
5 児童相談所が関与していた事例が半数を超えている。
年度によって異なりますが,半数を超えていたことはありません。
〈今日の注意ポイント〉
特に覚えておいてほしいのは,選択肢2と選択肢4だと言いました。
この2つに共通するのは,実母に関連するものです。
社会福祉士の国家試験は,社会福祉士に必要な知識が問われます。
この2つを通して考えられることは,妊娠初期から出産後まで,切れ目のない支援の必要性です。
予期しない妊娠によって,本来頼るべき存在である親とも疎遠になり,社会的に孤立するということも考えられます。
こういった社会的な問題を考えてもらうための出題だったと言えます。
そう考えると,この2つは今後も出題される可能性は十分考えられると思います。