障害者就業・生活支援センターは,障害者雇用促進法が規定しています。
障害者就業・生活支援センターの業務
・支援対象障害者からの相談に応じ、必要な指導及び助言。 ・公共職業安定所、地域障害者職業センター、社会福祉施設、医療施設、特別支援学校その他の関係機関との連絡調整その他。 ・職業準備訓練のあっせん。 ・支援対象者の職業生活における自立を図るために必要な業務。 |
それでは,今日の問題です。
第32回・問題146
事例を読んで,障害者就業・生活支援センターのB支援担当職員(社会福祉士)が行うべき支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
障害者就業・生活支援センターのB支援担当職員は,知的障害のあるCさんから,勤務先で担当する仕事の内容が変わったため,それに対応するのが難しくて失敗が多くなり出勤する意欲が湧かなくなってしまったと相談を受けた。実際,既に1週間仕事は休んでいるが,現在の事業所での就労は継続したいという。Cさんは,10年前に特別支援学校高等部を卒業と同時に現在の事業所に就職した。
1 近隣の就労移行支援事業所が行う就労定着支援を利用するよう助言する。
2 卒業した特別支援学校に対して,Cさんの新たな個別の教育支援計画の策定を要請する。
3 障害者職業能力開発校において,現在求人の多い職種での職業訓練の受講をするように助言する。
4 職業適性上の課題が考えられるので,地域障害者職業センターに職業準備支援を依頼する。
5 事業所を訪問して状況を確認した上で,関係者によるカンファレンスを開催する。
社会資源の知識がなくても正解できるタイプの問題です。
こういった問題をミスすることは,命取りになりかねません。
心して,問題を解くことが必要です。
それでは解説です。
1 近隣の就労移行支援事業所が行う就労定着支援を利用するよう助言する。
就労定着支援は,就労移行支援,就労継続支援,生活介護,自立訓練の利用を経て,通常の事業所に新たに雇用されて,6か月を経過した者が対象です。
Cさんは,10年前に特別支援学校高等部を卒業と同時に現在の事業所に就職したという情報から,規定されているサービスを受けていません。
2 卒業した特別支援学校に対して,Cさんの新たな個別の教育支援計画の策定を要請する。
このタイプは,「〇〇に〇〇をゆだねる」と同じようなものです。ゆだねるで正解になったものを見たことがありません。
それは別として,特別支援学校が策定する教育支援計画は,在校生を対象にするものです。
卒業生は対象ではありません。
3 障害者職業能力開発校において,現在求人の多い職種での職業訓練の受講をするように助言する。
Cさんは,在職中です。そして現在の事業所での就労は継続したいと言っています。
それは別として,現在求人の多い職種での職業訓練の受講をするように助言するのはあまりに稚拙です。
職業訓練を受講するなら,支援対象者の適正に合うものでなければなりません。
4 職業適性上の課題が考えられるので,地域障害者職業センターに職業準備支援を依頼する。
職業準備支援は,就労可能性を高めるために実施するものです。就労に必要な知識習得や社会生活技能向上などの支援を行います。
Cさんは既に就労しています。
地域障害者職業センターが行う就労中の人の支援は,ジョブコーチやリワーク支援です。
ただし,リワーク支援は,うつなどによって求職している人が復職するための支援です。
5 事業所を訪問して状況を確認した上で,関係者によるカンファレンスを開催する。
これが圧倒的に適切です。
支援の最初は,状況の確認です。
そのほかの選択肢はすべて,情報を把握する前に具体的な解決策を提示しています。
ソーシャルワークの事例問題と同じで,そういったものが並んでいる中に,状況確認するものが含まれているとそれが圧倒的に正解です。
〈今日の注意ポイント〉
今日の問題はそれほど難しくはありません。
しかし,事例問題は,そんなに簡単なものではありません。
国家試験には,「正しいもの」「適切なもの」「最も適切なもの」を選ぶタイプの問題があります。
そのうち「最も適切なもの」を選ぶ問題は,すべては適切であり,そのうちから,最も適切なものを選ぶことが必要なものもあります。
一度答えを選んでも,もう一度「もっと適切なものはないか」という視点で問題を読み直してみることをおすすめします。