来週の今頃は試験を受けている最中でしょう。
今までたくさんの問題を見てきましたが,正解になりにくい構文が存在します。
そういったものが,今後の国家試験で出題されるかは分かりませんが,覚えておくとミスを減らせます。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題10
発達理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 ヴィゴツキー(Vygotsky,L.)によれば,子どもの知的発達には,独力で問題解決できる水準と,他者からの援助などによって達成が可能な水準があると考えられる。
2 ピアジェ(Piaget,J.)によれば,感覚運動期→前操作期→具体的操作期→形式的操作期という段階を経て,運動能力は発達すると考えられる。
3 ゲゼル(Gesell,A.)によれば,個体の行動や能力などの発達は,個体内の神経生理学的成長よりも環境の影響を強く受けると考えられる。
4 ボウルビィ(Bowlby,J.)によれば,乳児の成人への接近や接触要求の行動は生得的なものではなく,学習による行動であると考えられる。
5 エリクソン(Erikson,E.)によれば,各発達段階で生じる欲求には階層性があり,各階層の欲求が順に満たされることで自己実現が可能になると考えられる。
この問題は,今なら,どれも参考書に書かれているものだと思いますが,その当時はおそらく書かれていなかったものが含まれるので,とても難しかったのではないかと思います。
消去法で答えが残るタイプなのです。
正解は,選択肢1です。
1 ヴィゴツキー(Vygotsky,L.)によれば,子どもの知的発達には,独力で問題解決できる水準と,他者からの援助などによって達成が可能な水準があると考えられる。
これが出題されたのは,後にも先にもこの時1回のみです。覚える優先度は限りなく低いものです。
さて,この問題の中に正解になりにくい構文が2つあります。
3 ゲゼル(Gesell,A.)によれば,個体の行動や能力などの発達は,個体内の神経生理学的成長よりも環境の影響を強く受けると考えられる。
4 ボウルビィ(Bowlby,J.)によれば,乳児の成人への接近や接触要求の行動は生得的なものではなく,学習による行動であると考えられる。
選択肢3よりは,選択肢4の方が明確です。
選択肢4が本当に正解だとすれば,
ボウルビィ(Bowlby,J.)によれば,乳児の成人への接近や接触要求の行動は,学習による行動であると考えられる。
でも正しい文章となります。
しかし,この文章では「生得的なものではなく」を加えています。
そこから,「生得的が関係するのかも」と考えることが可能です。
選択肢3は,「よりも」です。もちろん「よりも」も正解になることはありますが,正解になりにくいものであることは覚えておくとよいように思います。
選択肢5は,明らかにマズローの内容です。
この問題の中で,最も気をつけたいのは,選択肢2です。
2 ピアジェ(Piaget,J.)によれば,感覚運動期→前操作期→具体的操作期→形式的操作期という段階を経て,運動能力は発達すると考えられる。
一読すると正解だと思う人もいると思います。
しかし,正解ではないのは,発達するのは,運動能力ではなく,知的能力だからです。
この問題の詳しい解説はこちら
〈いろいろな発達理論〉