更生緊急保護は,刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた者が,親族からの援助などを受けることができず,帰住先も決まっていない場合に,金品の給与・貸与,宿泊場所の供与,宿泊場所への帰住,医療,療養,就職,教養訓練の援助,生活指導などを緊急的に行うものです。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題148
更生緊急保護に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 対象となる者からの申出がない場合は職権で行うことができる。
2 対象となる者に仮釈放中の者を含む。
3 対象となる者が刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後2年を超えない範囲内において行われる。
4 刑事施設の長又は検察官がその必要があると認めたときに限って行われる。
5 更生保護事業を営む者に委託して行うことができる。
なかなかの難問です。知識不足の人が簡単に解ける問題ではありません。更生緊急保護はかなりの頻度で出題されてきているので,しっかり覚えて国試に臨みたいです。
それでは,解説です。
1 対象となる者からの申出がない場合は職権で行うことができる。
更生緊急保護は,対象者からの申出があって,保護観察所の長がその必要があると認めたときに行います。
2 対象となる者に仮釈放中の者を含む。
更生緊急保護は,刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた者が対象です。
仮釈放中の者は,保護観察に付されているので,更生緊急保護の対象にはなりません。
3 対象となる者が刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後2年を超えない範囲内において行われる。
更生緊急保護の期間は,6か月を超えない範囲です。必要な場合は,さらに6か月を超えない範囲で延長することが可能です。
4 刑事施設の長又は検察官がその必要があると認めたときに限って行われる。
選択肢2の解説に書いたように,更生緊急保護の必要を判断するのは,保護観察所の長です。
5 更生保護事業を営む者に委託して行うことができる。
これが正解です。更生緊急保護は,保護観察所の長が自ら行うほかに,更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して行います。
〈今日の注意ポイント〉
この問題に出題されるものは,すべて重要なもので構成されていますが,特に覚えておきたいのは,更生緊急保護の対象とその期間です。
更生緊急保護の対象
刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた者(保護観察に付されている者は対象外)
更生緊急保護の期間
6か月を超えない範囲。必要な場合は,さらに6か月を超えない範囲で延長可能。