感覚・知覚に関する出題頻度(第22~35回)
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出題 |
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〇がついているところが,出題された回です。
心理学は,社会情勢などの変化に影響されないので,出題内容がとても安定しています。
そのために,感覚・知覚の出題もこのように安定して定期的に出題されています。
それでは,この中の最も古い問題を見てみたいと思います。
第22回・問題8
感覚・知覚に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 口を閉じた状態で,眼球を軽く圧迫すると明るさの変化を感じるのは,眼球圧迫が視覚に対する適刺激だからである。
2 2つの刺激の明るさや大きさなどの物理的特性の違いを区別することができる最小差異を,刺激閾という。
3 朝,暗い部屋で目覚めたときに,カーテンを開けると非常にまぶしいが,しばらく経つと普通に見えるようになるのは,暗順応の働きである。
4 滝をじっと見つめていて,その後に他の風景に目を向けると上方向に動いているように見えるのは,視覚の体制化とよばれる現象である。
5 映画のフィルムは1コマごとの静止画像なのに,連続して提示すると動いて見るのは,仮現運動によるものである。
よく見たことがある内容が並んでいると思うでしょう。
そう,出題される内容そのものも似ています。それを少しずつ変化させながら出題されています。
選択肢1の内容は,第27回では,以下のように出題されています。
目や耳などの感覚器には,光や音以外にも「眼球をおすと光が見える」などの感覚を生じさせる刺激があり,こうした刺激を適刺激という。
少しずつ変化をつけていることがわかります。
それでは簡単に解説します。
1 口を閉じた状態で,眼球を軽く圧迫すると明るさの変化を感じるのは,眼球圧迫が視覚に対する適刺激だからである。
心理学では,感覚器(目,耳,鼻,口など)が受け取る情報を感覚モダリティといいます。
目が受け取る情報は,光です。
鼻が受け取る情報は,においです。
この関係を適刺激といいます。
この出題に合わせて,説明すると,視覚の適刺激は光である,となります。
眼球圧迫でも光を感じるらしいですが,実際にやってみるのは,目に良くないのでやめましょう。
2 2つの刺激の明るさや大きさなどの物理的特性の違いを区別することができる最小差異を,刺激閾という。
刺激閾とは,感覚が生じる刺激の最少の量をいいます。
例えば,音域です。聴覚検査では,音を感じない小さな音からだんだん大きくしていって,音が聞こえるようになるポイントが刺激閾です。
一方,2つの刺激の明るさや大きさなどの物理的特性の違いを区別することができる最小差異は,丁度価値差異(ちょうどかちさい),または弁別閾といいます。
社会福祉士の国家試験にはまだ出題されたことはありませんが,丁度価値差異に関連するものにウェーバーの法則というものがあります。
丁度価値差異は,刺激の大きさに比例するという法則です。
60グラムの重さの違いを見分ける丁度価値差異が1グラムだったとします。
600グラムの重さの場合は,丁度価値差異は10倍の10グラムとなります。
重さが軽いときは,丁度価値差異は繊細に小さな違いを感じ取ることができても,重さが重くなれば,だんだん大雑把になっていきます。人の体は実に不思議なものです。
3 朝,暗い部屋で目覚めたときに,カーテンを開けると非常にまぶしいが,しばらく経つと普通に見えるようになるのは,暗順応の働きである。
明るさに目が慣れるのは,明順応といいます。
逆に暗さに目が慣れるのは,暗順応といいます。
4 滝をじっと見つめていて,その後に他の風景に目を向けると上方向に動いているように見えるのは,視覚の体制化とよばれる現象である。
滝をじっと見つめていて,その後に他の風景に目を向けると上方向に動いているように見えるのは,運動残効という働きによるものです。
視覚の体制化とは,刺激をまとまりのあるものとして知覚する働きのことをいいます。
5 映画のフィルムは1コマごとの静止画像なのに,連続して提示すると動いて見るのは,仮現運動によるものである。
これが正解です。
脳は,実際に見えていないものであっても,そのすき間を補完して情報処理します。
これを知覚的補完といいます。仮現運動は,その働きによって,連続した静止画像を見ると,その間にはないものをあるように情報処理するので,動画のように見えます。
〈今日の注意ポイント〉
心理学を苦手だと思う人は,覚えるときに具体例を考えると良いです。
国歌試験でもこの問題のように,その例が問われます。