2024年1月14日日曜日

要保護児童対策地域協議会と要保護児童対策調整機関について

要保護児童対策地域協議会(要対協)と要保護児童対策調整機関は,児童福祉法が根拠法です。

 

児童福祉法では,次のように規定されています。

 

要保護児童対策地域協議会

・地方公共団体は,単独で又は共同して,要保護児童の適切な保護又は要支援児童若しくは特定妊婦への適切な支援を図るため,関係機関,関係団体及び児童の福祉に関連する職務に従事する者その他の関係者(以下「関係機関等」という。)により構成される要保護児童対策地域協議会(以下「協議会」という。)を置くように努めなければならない

・協議会は,要保護児童若しくは要支援児童及びその保護者又は特定妊婦(以下この項及び第五項において「支援対象児童等」という。)に関する情報その他要保護児童の適切な保護又は要支援児童若しくは特定妊婦への適切な支援を図るために必要な情報の交換を行うとともに,支援対象児童等に対する支援の内容に関する協議を行うものとする。

 

要保護児童対策調整機関

・協議会を設置した地方公共団体の長は,協議会を構成する関係機関等のうちから,一に限り要保護児童対策調整機関を指定する。

・要保護児童対策調整機関は,協議会に関する事務を総括するとともに,支援対象児童等に対する支援が適切に実施されるよう,内閣府令で定めるところにより,支援対象児童等に対する支援の実施状況を的確に把握し,必要に応じて,児童相談所,養育支援訪問事業を行う者,母子健康包括支援センターその他の関係機関等との連絡調整を行うものとする。

・市町村の設置した協議会に係る要保護児童対策調整機関は,専門的な知識及び技術に基づき前項の業務に係る事務を適切に行うことができる者として調整担当者を置くものとする。

・要保護児童対策調整機関に置かれた調整担当者は,内閣総理大臣が定める基準に適合する研修を受けなければならない。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題140

要保護児童対策地域協議会に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国は,要保護児童等を支援するために関係機関,関係団体及び関係者により構成される要保護児童対策地域協議会を設置しなければならない。

2 児童相談所長は,要保護児童対策地域協議会を構成する関係機関等のうちから,1個に限り要保護児童対策調整機関を指定しなければならない。

3 要保護児童対策調整機関の調整担当者は,厚生労働大臣が定める基準に適合する研修を受けなければならない。

4 要保護児童対策調整機関には,専門的な知識及び技術に基づき適切な業務を行うことができる者として,主任児童委員を配置しなければならない。

5 母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)を設置した市町村は,要保護児童対策地域協議会を廃止することとされている。

 

知識がないと正解することができない問題です。

消去法で正解するのも簡単ではありません。

 

しかし,知識がある人ならすぐに答えがわかる問題だと思います。

 

こういったタイプの問題が,社会福祉士の国家試験の理想です。知識不足の人でも正解できる問題は,国家試験には向きません。

 

それでは解説です。

 

1 国は,要保護児童等を支援するために関係機関,関係団体及び関係者により構成される要保護児童対策地域協議会を設置しなければならない。

 

要対協の設置は,地方公共団体の努力義務です。

 

2 児童相談所長は,要保護児童対策地域協議会を構成する関係機関等のうちから,1個に限り要保護児童対策調整機関を指定しなければならない。

 

要保護児童対策調整機関を指定するのは,協議会を設置した地方公共団体の長です。

 

3 要保護児童対策調整機関の調整担当者は,厚生労働大臣が定める基準に適合する研修を受けなければならない。

 

この問題が出題された時点では,この選択肢が正解でした。

 

しかし,現在は,調整担当者の研修は,厚生労働大臣から内閣総理大臣が基準を定めることに変更になりました。

 

いつの改正で変更されたのかは明確にはよくわかりませんが,令和4年度版の小六法では厚生労働大臣,令和5年度版の小六法では内閣総理大臣となっているので,この間に施行されたもののようです。

 

4 要保護児童対策調整機関には,専門的な知識及び技術に基づき適切な業務を行うことができる者として,主任児童委員を配置しなければならない。

 

要保護児童対策調整機関に配置されるのは,調整担当者です。

 

5 母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)を設置した市町村は,要保護児童対策地域協議会を廃止することとされている。

 

このような規定はありません。

ということで,この問題の正解は,出題当時は選択肢3でしたが,今は,正解はありません。


〈今日の注意ポイント〉

 

今日の問題のように,出題当時は適切であっても制度改正のために,現在では問題がしないものもあります。

 

勉強したものから改正があったらどうするのだ,と心配になる人もいるでしょう。しかし,安心してください。改正されたものがすぐには出題されないのが社会福祉士の国家試験です。

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