2024年1月2日火曜日

高齢者住まい法について

高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)は,サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を定めている法制度です。


サ高住は,同法の2011年(平成23年)改正によって,それまであった,


高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)

高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)

高齢者専用賃貸住宅(高専賃)


を廃止して新たに創設したものです。


サ高住は,バリアフリー構造の賃貸住宅,有料老人ホームが,都道府県知事の登録を受け,状況把握サービス,生活相談サービスその他を行います。


想像できるかもしれませんが,生活相談サービスを行うために生活相談員が配置されることもあり,国家試験に出題されやすい制度だと言えます。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題128

高齢者保健福祉施策の変遷に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 老人保健法(1982年(昭和57年))により,市町村による40歳以上の者に対する医療以外の保健事業(健康教育,健康診査,訪問指導など)の実施が規定された。

2 老人福祉法の改正(1990年(平成2年))により,特別養護老人ホーム等の入所決定権が,国から都道府県に移譲された。

3 介護保険法(1997年(平成9年))により,第一種社会福祉事業は原則として民間営利企業が経営することとなった。

4 高齢者の医療の確保に関する法律(2006年(平成18年))により,老人訪問看護制度が創設された。

5 高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正(2011年(平成23年))により,高齢者向け優良賃貸住宅の制度が創設された。


歴史が不得意な人は,いやになってしまうような問題かもしれませんが,歴史は覚えるポイントが少ないので,短期間でも実力をつけることができます。


それでは解説です。


1 老人保健法(1982年(昭和57年))により,市町村による40歳以上の者に対する医療以外の保健事業(健康教育,健康診査,訪問指導など)の実施が規定された。


これが正解です。


老人保健法(現・高齢者の医療の確保に関する法律)によって,健康教育,健康診査,訪問指導などが規定されました。


この問題が難しい理由は,40歳という年齢です。高齢者は65歳以上のことをいうので,40歳という年齢が引っ掛かりです。


そのために,×にしてしまいがちです。


まずは,結論を出さないで,冷静に△をつけておきます。


この問題は,消去法で答えるタイプなので,消去できないものが一つでもあると正解できません。


それでは,一緒に消去していきたいと思います。


2 老人福祉法の改正(1990年(平成2年))により,特別養護老人ホーム等の入所決定権が,国から都道府県に移譲された。


1990年の老人福祉法の改正とは,いわゆる福祉関係八法改正のことです。

この改正では,福祉サービスの実施主体を市町村に一元化したのが特徴です。


老人福祉法では,特別養護老人ホーム等の入所決定権が,都道府県から町村に移譲されています。


細かい引っ掛けはされませんが,市町村ではなく,町村となっている理由は,市は福祉事務所が設置されているために,それ以前から入所措置を行っていたためです。


3 介護保険法(1997年(平成9年))により,第一種社会福祉事業は原則として民間営利企業が経営することとなった。


社会福祉法が規定する第一種社会福祉事業は,国,地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とします。


介護保険は,民間営利企業の参入を促すことで,必要となるサービス量を確保しました。


しかし,第一種社会福祉事業は,実施されるサービスが外部の目に触れることが少ないために,重大な人権侵害が行われる恐れがあるために,経営主体は現在も限定しています。


高齢者虐待の事件があるのは,通所系よりも入所系であることからわかるように,入所系サービスは,重大な人権侵害の危険をはらみます。


4 高齢者の医療の確保に関する法律(2006年(平成18年))により,老人訪問看護制度が創設された。


高齢者の医療の確保に関する法律によって創設されたのは,後期高齢者医療制度です。


老人訪問看護制度は,1991年(平成3年)の老人保健法の改正です。


5 高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正(2011年(平成23年))により,高齢者向け優良賃貸住宅の制度が創設された。


2011年(平成23年)の高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)の改正によって創設されたのは,サービス付き高齢者専用住宅(サ高住)です。


〈今日の注意ポイント〉


1990年(平成2年)の福祉関係八法改正は,歴史的ターニングポイントとして重要な意味をもちます。


この学習部屋でも「福祉関係八法改正で何が変わったのか?」という記事のアクセスがずっと高いですが,とても重要なことなので,当然と言えば当然なのかもしれません。


福祉関係八法改正で何が変わったのか?

https://fukufuku21.blogspot.com/2019/09/blog-post_25.html


入所措置のほとんどは,市町村が行う事務です。

注意しておきたいのは,児童福祉法です。


通所系サービスは,市町村長が措置しますが,入所系サービスは,都道府県知事が措置を行います。

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