成年後見人等に付与され得る権限
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代理権 |
同意権 |
取消権 |
成年後見人 |
〇 |
× |
〇 |
保佐人 |
〇 |
〇 |
〇 |
補助人 |
〇 |
〇 |
〇 |
任意後見人 |
〇 |
× |
× |
成年後見人に同意権が付与されないのは,同意して行った法律行為であっても,取消しが可能だからです。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題81
次のうち,成年後見制度において成年後見人等に対して付与し得る権限として,正しいものを1つ選びなさい。
1 成年後見人に対する本人の居所指定権
2 成年後見監督人に対する本人の懲戒権
3 保佐人に対する本人の営業許可権
4 補助人に対する本人の代理権
5 任意後見監督人に対する本人の行為の取消権
なかなかの難問です。いろいろなものが混ざっています。
それでは,解説です。
1 成年後見人に対する本人の居所指定権
居所指定権を有するのは,親権者です。
親権者が指定した居所に正当な理由なく寄り付かない場合は,虞犯少年になり得ます。
2 成年後見監督人に対する本人の懲戒権
以前,民法によって,懲戒権は親権者に付与されていました。
現在は,削除されています。
3 保佐人に対する本人の営業許可権
職業許可権であれば,親権者です。
営業許可権であれば,所轄の行政でしょう。
4 補助人に対する本人の代理権
これが正解です。
補助人は,目録に記載された特定の法律行為に関して,本人を代理します。
5 任意後見監督人に対する本人の行為の取消権
任意後見制度には,取消権の制度はありません。
任意後見人及び任意後見監督人に付与されるのは,代理権のみです。
<任意後見監督人の職務>
・任意後見人の事務を監督すること。
・任意後見人の事務に関し,家庭裁判所に定期的に報告をすること。
・急迫の事情がある場合に,任意後見人の代理権の範囲内において,必要な処分をすること。
・任意後見人又はその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表すること。
〈今日の一言〉
成年後見人等が取消しできないもの
・身分行為(婚姻など)
・遺言