今回は,保護観察官と保護司を学びましょう。
保護観察官と保護司は,お互いに協力し合い,保護観察などの業務に携わります。
保護観察官 |
保護司 |
保護観察、調査、生活環境の調整その他犯罪をした者及び非行のある少年の更生保護並びに犯罪の予防に関する事務に従事する。 |
保護観察官で十分でないところを補い、地方更生保護委員会又は保護観察所の長の指揮監督を受けて、それぞれ地方委員会又は保護観察所の所掌事務に従事する。 |
保護司は,保護観察所の長が保護観察所に置かれた保護司選考会の意見を聴いて,法務大臣に推薦した者の中から法務大臣が委嘱します。
任期は2年ですが,再任は妨げられません。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題147
保護観察官及び保護司に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 保護観察官は,都道府県庁及び保護観察所に配置される。
2 保護観察官は,犯罪の予防に関する事務には従事できない。
3 保護司の身分は,常勤の国家公務員である。
4 保護司が相互に情報交換するには,保護観察官の許可が必要である。
5 被害者を担当する保護司は,その任に当たる間,加害者の保護観察は行わない。
なかなかの難問です。たまにはこういった問題も出題されることもありますが,落ち着いて考えると正解することは可能です。
それでは,解説です。
1 保護観察官は,都道府県庁及び保護観察所に配置される。
保護観察官が配置されるのは,地方更生保護委員会と保護観察所です。
更生保護には,地方公共団体の役割はほとんどありません。
2 保護観察官は,犯罪の予防に関する事務には従事できない。
保護観察官の業務は,更生保護と犯罪の予防です。
3 保護司の身分は,常勤の国家公務員である。
保護司は,非常勤の国家公務員です。
4 保護司が相互に情報交換するには,保護観察官の許可が必要である。
保護司は,その職務を行うに当たって知り得た関係者の身上に関する秘密を尊重することは規定されていますが,保護観察官の許可を受けることは必要ではありません。
5 被害者を担当する保護司は,その任に当たる間,加害者の保護観察は行わない。
これが正解です。
これを知らずとも,加害者と被害者を同時に担当することはないだろうと推測できます。
あなただったら,加害者と被害者を同時に担当した場合,適切なかかわりができるでしょうか。
答えがわからない時は,自然な発想,言い換えれば,素人的な発想も時には有効です。