社会福祉法人には,社会福祉法によって,地域における公益的な取組みを行う責務が定められています。
社会福祉事業及び公益事業を行うに当たっては、日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない。
厚生労働省は,地域における公益的な取組として,以下の3点を示しています。
①社会福祉事業又は公益事業を行うに当たって提供される「福祉サービス」であること
留意点:社会福祉と関連のない事業は該当しない。
例:在宅の単身高齢者や障害者への見守りなど
②「日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者」に対する福祉サービスであること
留意点:心身の状況や家庭環境、経済的な理由により支援を要する者が対象
例:生活困窮世帯の子どもに対する学習支援など
③無料又は低額な料金で提供されること
留意点:法人の費用負担により、料金を徴収しない又は費用を下回る料金を徴収して実施するもの
それでは,今日の問題です。
第33回・問題38
事例を読んで,V社会福祉法人のD生活相談員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
特別養護老人ホームを中心に社会福祉事業を経営するV社会福祉法人では,2016年(平成28年)の社会福祉法改正を受け,「地域における公益的な取組」(以下「取組」という。)の実施について協議する委員会が設置され,D生活相談員が責任者となった。委員会では,地域の中で孤立する子どもたちに対して1回100円程度で利用できる子ども食堂を実施してはどうかという提案がなされた。
1 子ども食堂は「取組」に当たらないため,法人は関わらず,施設に関わっているボランティアが中心となって実施する計画を立てる。
2 日常生活上又は社会生活上の支援を必要とする者が対象でなければ「取組」に当たらないため,地域住民や関係機関に働き掛けて,地域の子どもたちのニーズを明らかにするための話合いを実施する計画を立てる。
3 高齢者を対象とした事業でなければ法人の「取組」に当たらないため,孤立した高齢者を主たる対象とした取組として実施する計画を立てる。
4 低額であっても費用が徴収される活動は「取組」に当たらないため,無償の活動として実施する計画を立てる。
5 一つの社会福祉法人のみでは「取組」に当たらないため,近隣の他の社会福祉法人に呼び掛けて,賛同が得られた後に実施する計画を立てる。
ごちゃごちゃ書かれた問題ですが,答えは,選択肢2です。
2 日常生活上又は社会生活上の支援を必要とする者が対象でなければ「取組」に当たらないため,地域住民や関係機関に働き掛けて,地域の子どもたちのニーズを明らかにするための話合いを実施する計画を立てる。
日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者を対象とする必要があります。
これ以外は,すべて嘘です。