2024年9月24日火曜日

障害者差別解消法

今回は,障害者差別解消法を学びます。

 

障害者の定義

身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって,障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

 この定義,障害者基本法と同じです。


障害を理由とする差別の禁止(行政機関等と事業者)

その事務又は事業を行うに当たり,障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより,障害者の権利利益を侵害してはならない。

 

合理的配慮の提供

その事業を行うに当たり,障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において,その実施に伴う負担が過重でないときは,障害者の権利利益を侵害することとならないよう,当該障害者の性別,年齢及び障害の状態に応じて,社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

 

合理的配慮の提供は,行政機関等は義務,事業者は,努力義務でしたが,2024年(令和6年)4月から,事業者も義務化されました。

 

障害者差別解消支援地域協議会

国及び地方公共団体の機関であって,医療,介護,教育その他の障害者の自立と社会参加に関連する分野の事務に従事するものは,当該地方公共団体の区域において関係機関が行う障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため,関係機関により構成される障害者差別解消支援地域協議会を組織することができる。

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題57 

「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国際障害者年(1981年(昭和56年))に向けて,国内法の整備の一環として制定された。

2 「不当な差別的取扱いの禁止」について,国・地方公共団体等には義務が,民間事業者には努力義務が課されている。

3 「合理的配慮の提供」について,国・地方公共団体等と民間事業者に,共に義務が課されている。

4 障害者の定義は,障害者基本法に規定されている障害者の定義より広い。

5 国や地方公共団体の関係機関は,地域における障害を理由とする差別に関する相談や差別解消の取組のネットワークとして,障害者差別解消支援地域協議会を設置できる。

(注) 「障害者差別解消法」とは,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。

 

改正前の問題なので,現在は問題として成立しません。

この問題が出題された時点では誤りだったものが,現在は正しいものに改正されているからてす。

 

それでは解説です。

 

1 国際障害者年(1981年(昭和56年))に向けて,国内法の整備の一環として制定された。

 

障害者差別解消法は,障害者に関する権利条約を批准するための国内法の整備の一環として制定されたものです。

 

2 「不当な差別的取扱いの禁止」について,国・地方公共団体等には義務が,民間事業者には努力義務が課されている。

 

「不当な差別的取扱いの禁止」は,行政機関等及び民間事業者ともに義務が課せられています。

 

3 「合理的配慮の提供」について,国・地方公共団体等と民間事業者に,共に義務が課されている。

 

これが前説のように改正された部分です。この問題が出題されたときは,誤りでした。

 

しかし,現時点では,「合理的配慮の提供」は,国・地方公共団体等と民間事業者ともに義務が課されています。

 

4 障害者の定義は,障害者基本法に規定されている障害者の定義より広い。

 

障害者の定義は,障害者基本法と同じです。


5 国や地方公共団体の関係機関は,地域における障害を理由とする差別に関する相談や差別解消の取組のネットワークとして,障害者差別解消支援地域協議会を設置できる。

 

これが正解です。

 

障害者差別解消支援地域協議会の設置は任意です。

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