国家試験は五者択二,あるいは,五者択二の問題で構成されています。
当然ですが,正解以外は誤りです。
ところが,誤りの文章を作るのは,かなり難しいものです。
そのため,いくつかの方法が使われます。その一つが市町村と都道府県の入れ替えです。
知識不足では,解けないので,かなり手ごわい問題となります。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題42
都道府県の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 生活困窮者自立支援法に基づき,生活困窮者自立相談支援事業を行う。
2 老人福祉法に基づき,養護老人ホームへの入所措置を行う。
3 「障害者総合支援法」に基づき,介護給付費の支給決定を行う。
4 子ども・子育て支援法に基づき,市町村子ども・子育て支援事業計画を定めるに当たって参酌すべき標準を定める基本指針を策定する。
5 介護保険法に基づき,地域密着型サービス事業者の指定を行う。
(注) 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
勉強には,とても良い問題です。しっかりと押さえていきましょう。
それでは,解説です。
1 生活困窮者自立支援法に基づき,生活困窮者自立相談支援事業を行う。
これが正解です。
生活困窮者自立支援法で規定される必須事業には,生活困窮者住宅確保給付金と生活困窮者自立相談支援事業の1つがあります。
これらは,都道府県と市,そして福祉事務所を設置する町村に実施義務があります。
生活困窮者自立相談支援事業は,委託して実施することができます。
2 老人福祉法に基づき,養護老人ホームへの入所措置を行う。
老人福祉法に基づく入所措置は,市町村の役割です。
この問題には出題されていませんが,児童福祉法に基づく入所措置は,都道府県の役割です。
大人は,入所も通所も市町村が決定します。
しかし,児童は,入所の決定は都道府県,通所の決定は市町村,役割が分かれているので,注意が必要です。
3 「障害者総合支援法」に基づき,介護給付費の支給決定を行う。
障害者総合支援法の実施主体は,市町村です。
そのため,ほとんどは市町村が実施します。
障害者総合支援法における都道府県の役割
・自立支援医療のうち,精神通院医療の支給決定
・指定一般相談支援事業者の指定
・障害福祉サービス事業者の指定
・地域生活支援事業のうち,専門性の高い事業
・都道府県障害福祉計画の策定
これら以外は,基本的に市町村の役割です。
なお,事業者の指定は基本的には都道府県の役割ですが,障害者総合支援法では,指定特定相談支援事業者の指定のみは,市町村の役割です。
4 子ども・子育て支援法に基づき,市町村子ども・子育て支援事業計画を定めるに当たって参酌すべき標準を定める基本指針を策定する。
基本指針を定めるのは,中央政府の役割です。
子ども・子育て支援法の場合は,内閣総理大臣が定めます。
厚生労働大臣ではないところに注意が必要です。
5 介護保険法に基づき,地域密着型サービス事業者の指定を行う。
介護保険法でも基本的に事業者の指定は都道府県の役割です。
しかし,
地域密着型サービス事業者
介護予防サービス事業者
居宅介護支援事業者
の指定は,市町村の役割です。
児童福祉法には,地域密着型サービスのようなものはないので,事業者の指定は基本的には都道府県の役割です。
ただし,児童福祉法でも例外があります。障害児相談支援事業者の指定のみは,市町村の役割です。