2024年9月25日水曜日

障害者福祉制度の発展過程


歴史が苦手にしている人は多いですが,覚えるべきポイントは明確なので,しっかり覚えると得点源になります。


例えば,精神保健福祉に関しては


精神病者監護法 → 私宅監置を認めた。


精神衛生法 → 私宅監置を廃止した。


という感じです。私宅監置はあとに述べます。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題58

障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 1949年(昭和24年)の身体障害者福祉法は,障害者福祉の対象を傷痍軍人に限定した。

2 1950年(昭和25年)の精神衛生法は,精神障害者の私宅監置を廃止した。

3 1960年(昭和35年)の身体障害者雇用促進法は,児童福祉施設に入所している18歳以上の肢体不自由者が増加する問題に対応するために制定された。

4 1980年代に日本で広がった自立生活運動は,デンマークにおける知的障害者の親の会を中心とした運動が起源である。

5 2010年(平成22年)に発足した障がい者制度改革推進会議における検討の結果,障害者自立支援法が制定された。


前説によって,答えがわかると思いますが,解説します。


1 1949年(昭和24年)の身体障害者福祉法は,障害者福祉の対象を傷痍軍人に限定した。


身体障害者福祉法は,傷痍軍人のみではなく,一般の肢体不自由者,聴覚障害者,視覚障害者等を対象にしました。



2 1950年(昭和25年)の精神衛生法は,精神障害者の私宅監置を廃止した。


これが正解です。


私宅監置とは,精神障害者を自宅の一室や離れ小屋などに閉じ込めて,保護する制度です。


監護義務者が地方長官(現在の都道府県知事)に届け出ることで,私宅監置が認められました。


いわゆる座敷牢の合法化です。


1900年(明治33)の精神病者監護法で認められ,1950年(昭和25年)の精神衛生法で廃止されました。


3 1960年(昭和35年)の身体障害者雇用促進法は,児童福祉施設に入所している18歳以上の肢体不自由者が増加する問題に対応するために制定された。


身体障害者雇用促進法は,現在の障害者雇用促進法です。


身体障害者の雇用を促進するために制定したものです。


同じ年に精神薄弱者福祉法が制定されました。現在の知的障害者福祉法です。


同法は,児童福祉施設に入所する18歳以上の知的障害者が増加する問題に対応するために制定されたものです。


この時に精神薄弱者援護施設が創設され,これが日本で初めての障害者(18歳以上)の入所施設となりました。


4 1980年代に日本で広がった自立生活運動は,デンマークにおける知的障害者の親の会を中心とした運動が起源である。


日本の自立生活運動は,アメリカの重度障害のあったカリフォルニア大学バークレー校の学生のロバーツの自立生活運動が起源です。


デンマークにおける知的障害者の親の会を中心とした運動は,ノーマライゼーションの起源です。


5 2010年(平成22年)に発足した障がい者制度改革推進会議における検討の結果,障害者自立支援法が制定された。


障がい者制度改革推進会議は,障害者の権利に関する条約の批准のために設置されたものです。


この時に,障害者基本法の改正,障害者虐待防止法の制定,障害者差別解消法の制定などが行われています。


障害者自立支援法は,それより前の2005年(平成15年)に制定されています。

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