9問が出題される社会保障は,出題の自由度が高いと言えます。
その分,手ごわい科目です。
事例問題が2問出題する年も出てくることでしょう。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題54
事例を読んで,Gさんが受けられる社会保障給付等に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Gさん(35歳,女性)は民間企業の正社員として働く夫と結婚後,5年間専業主婦をしていたが2019年(令和元年)に離婚し,3歳の子どもと二人で暮らしている。飲食店で週30時間のパートタイムの仕事をしており,雇用保険の加入期間は1年を過ぎた。しかし,店主の入院により飲食店は営業を休止し,Gさんは休業を余儀なくされている。
1 Gさんは,婚姻期間中の夫の老齢基礎年金の保険料納付記録を分割して受けられる。
2 Gさんが児童扶養手当を受給できるのは,子が小学校を卒業する年度末までである。
3 Gさんが母子生活支援施設に入所した場合,児童扶養手当を受給できない。
4 Gさんは,休業期間中の手当を雇用保険の雇用継続給付として受給できる。
5 Gさんが解雇により失業した場合,失業の認定を受けて雇用保険の求職者給付を受給できる。
〈国家試験問題の類型〉
・タクソノミーⅠ型(単純な知識の想起によって解答できる問題)
・タクソノミーⅡ型(設問で与えられた情報を理解・解釈してその結果に基づいて解答する問題)
・タクソノミーⅢ型(理解している知識を応用して具体的な問題解決を求める問題)
制度に関する問題をタクソノミーⅡ型,Ⅲ型で出題する場合は,この問題のように事例で出題されます。
それでは解説です。
1 Gさんは,婚姻期間中の夫の老齢基礎年金の保険料納付記録を分割して受けられる。
年金分割の制度があるのは,老齢厚生年金です。
2 Gさんが児童扶養手当を受給できるのは,子が小学校を卒業する年度末までである。
児童扶養手当を受給できるのは,18歳に達する日以後の3月31日まで(障害がある場合は,20歳まで)です。
3 Gさんが母子生活支援施設に入所した場合,児童扶養手当を受給できない。
児童扶養手当は,児童を監護する母,又は父に支給されます。
児童が施設入所すると,親は監護しないので,支給されません。
しかし,母子生活支援施設は,母子で入所するため,児童を監護するとみなされます。
4 Gさんは,休業期間中の手当を雇用保険の雇用継続給付として受給できる。
現在の雇用継続給付は,高年齢雇用継続給付と介護休業給付の2つです。
以前は,育児休業給付も雇用継続給付に含められていましたが,現在は独立した給付となっています。
Gさんは,介護休業しているわけではありません。
5 Gさんが解雇により失業した場合,失業の認定を受けて雇用保険の求職者給付を受給できる。
これが正解です。
雇用保険は,大きく分けると
①失業等給付
②育児休業給付
③雇用保険二事業
の3つがあります。
求職者給付は,「①失業等給付」に含まれ,最も基本的な給付です。
今でも失業保険と呼ぶ人がいるのは,失業すると求職者給付の給付があるためです。
解雇,倒産による失業だけではなく,自己理由による離職の場合に給付を受けることができます。
ただし,就職が決まらずに卒業した学生は,受給することができません。