事例問題は,知識がなくても解けるものもありますが,確実に正解するのは簡単ではありません。
事例問題の場合は,「この時点における」といった場面設定をすることで,正解の厳密性を高めています。
「この時点における」でなければ適切なものでも,「この時点における」では適切ではないものになるからです。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題60
事例を読んで,W就労継続支援A型事業所のH生活支援員(社会福祉士)のこの段階における対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Jさん(45歳,男性)は,軽度の知的障害があり,賃貸アパートで一人暮らしをしている。W事業所に通い,そこでの作業を楽しんでいる。ただ,金銭管理が得意ではなく,賃金や年金が支給されるとすぐに使い果たし,ガスや電気を止められ,W事業所への交通費に困ることがあった。そこで,H生活支援員がJさんと面談すると,お金のやりくりに困っているが,興味のあるネットビジネスも始めたいと思っているとのことであった。一方,離れて暮らしている妹からは,将来を考え,ネットビジネスを諦めさせてほしいとの相談があった。
1 ネットビジネスの夢を諦めるように説得する。
2 後見開始の審判の申立てを妹に勧める。
3 日常生活自立支援事業の利用を提案する。
4 共同生活援助(グループホーム)への入居を調整する。
5 W事業所に通うために自治体の移動支援事業の利用を促す。
この時点で優先すべきなのは,金銭管理です。
ということで,正解は,選択肢3です。
3 日常生活自立支援事業の利用を提案する。
将来の夢があるのは良いことですが,ライフラインを止められるのは,生死にかかわります。