遺産相続には,法定相続と遺言相続があります。
今回は,そのうちの遺言相続について学びます。
法定相続では,事実婚の配偶者には相続されません。
相続するためには,遺言相続が必要です。
遺言相続には,次の3種類があります。
・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
自筆証書遺言は,自分で作成することができますが,方法を間違えると無効となるので注意が必要です。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題79
遺言に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 公正証書遺言は,家庭裁判所の検認を必要とする。
2 聴覚・言語機能障害により遺言の趣旨を公証人に口授することができない場合は,公正証書遺言を作成することができない。
3 法定相続人の遺留分を侵害する内容の遺言は,その全部について無効となる。
4 前の遺言が後の遺言と抵触している場合,その抵触する部分について,後の遺言で前の遺言を撤回したものとはみなされない。
5 被保佐人が遺言を作成するには,保佐人の同意は不要である。
遺言の出題実績は以下のとおりです。
第7回
第8回
第10回
第11回
第21回
第24回
第33回
第36回
続けて出題されることもありますが,出題されない時には,10年も間が空いています。
もうしばらく出題されないかもしれませんし,またすぐ出題されるかもしれないという感じでしょう。
それでは,解説です。
1 公正証書遺言は,家庭裁判所の検認を必要とする。
検認とは,遺言の内容を家庭裁判所が記録することです。
検認が必要なのは,自筆証書遺言と秘密証書遺言です。
公正証書遺言は,公証人役場で保管されるために,内容を書き換えられてしまう恐れがありません。
そのために,公正証書遺言は検認を必要としません。
2 聴覚・言語機能障害により遺言の趣旨を公証人に口授することができない場合は,公正証書遺言を作成することができない。
聴覚・言語機能障害がある場合,口授の代わりに筆談などを使って公正証書遺言を作生することができます。
3 法定相続人の遺留分を侵害する内容の遺言は,その全部について無効となる。
遺留分とは,法定相続人が相続する最低限の取り分です。
遺留分がないと,住んでいる家を出なければならなくなるなど,生活に支障をきたすために,設けられたものです。
遺留分を侵害する遺言でも無効にはなりません。遺留分を侵害する部分については,遺留分侵害額請求権を行使して,その分を取り返します。
4 前の遺言が後の遺言と抵触している場合,その抵触する部分について,後の遺言で前の遺言を撤回したものとはみなされない。
遺言は,何度でも書き換えることができます。後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。
5 被保佐人が遺言を作成するには,保佐人の同意は不要である。
これが正解です。遺言には,同意を必要としません。