2024年9月7日土曜日

任意後見制度

 任意後見制度は,「任意後見契約に関する法律」によって規定されています。


条文は,たった11条しかありません。


そのため,出題されるポイントは,いつもほとんど同じです。


任意後見契約

・代理権を付与する委任契約。任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる。

任意後見契約の方式

・公正証書によってしなければならない。

登記

・任意後見契約していることは,登記所(法務局)に登記される。

任意後見監督人の選任

・家庭裁判所は,本人,配偶者,四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により,任意後見監督人を選任する。

選任の請求ができない者

・本人に対して訴訟をし,又はした者及びその配偶者並びに直系血族 など

同意

・本人以外の者の請求により任意後見監督人を選任するには,あらかじめ本人の同意がなければならない。

任意後見監督人になれない者

・任意後見受任者又は任意後見人の配偶者,直系血族及び兄弟姉妹

任意後見監督人の職務

・任意後見人の事務を監督すること。

・任意後見人の事務に関し,家庭裁判所に定期的に報告をすること。

・急迫の事情がある場合に,任意後見人の代理権の範囲内において,必要な処分をすること。

・任意後見人又はその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表すること。

任意後見契約の解除

・任意後見監督人が選任される前は,本人又は任意後見受任者は,いつでも,公証人の認証を受けた書面によって,任意後見契約を解除することができる。

・任意後見監督人が選任された後は,本人又は任意後見人は,正当な事由がある場合に限り,家庭裁判所の許可を得て,任意後見契約を解除することができる。

後見,保佐及び補助との関係

・任意後見契約が登記されている場合には,家庭裁判所は,本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り,後見開始の審判等をすることができる。

・任意後見監督人が選任された後において本人が後見開始の審判等を受けたときは,任意後見契約は終了する。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題82 

任意後見制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 任意後見契約に関する証書の作成後,公証人は家庭裁判所に任意後見契約の届出をしなければならない。

2 本人は,任意後見監督人選任の請求を家庭裁判所に行うことはできない。

3 任意後見契約では,代理権目録に記載された代理権が付与される。

4 任意後見監督人が選任される前において,任意後見受任者は,家庭裁判所の許可を得て任意後見契約を解除することができる。

5 任意後見監督人が選任された後において,本人が後見開始の審判を受けたとしても,任意後見契約は継続される。


前説の中には書かれていないものが出題されても消去法で正解できるのが任意後見制度に関する良い点です。


それでは,解説です。


1 任意後見契約に関する証書の作成後,公証人は家庭裁判所に任意後見契約の届出をしなければならない。


任意後見契約の証書を作成した後に,公証人が行わなければならないのは,法務局で登記することです。


2 本人は,任意後見監督人選任の請求を家庭裁判所に行うことはできない。


任意後見監督人選任の請求を行うことができるのは,


・本人

・配偶者

・四親等内の親族

・任意後見受任者


です。


3 任意後見契約では,代理権目録に記載された代理権が付与される。


これが正解です。


目録の実際 リンク先は,e-govなので安心です。

https://laws.e-gov.go.jp/data/MinisterialOrdinance/412M50000010009/587363_1/pict/3JH00000216831_1905281305_2001241901_001.pdf


ここに書かれているものにチェックを入れていきます。任意後見人はチェックされてるものに対して代理権を行使します。


4 任意後見監督人が選任される前において,任意後見受任者は,家庭裁判所の許可を得て任意後見契約を解除することができる。


家庭裁判所の許可を得て任意後見契約を解除することができるのは,任意後見監督人が選任された後です。


任意後見監督人が選任される前は,いつでも,公証人の認証を受けた書面によって,任意後見契約を解除することができます。


5 任意後見監督人が選任された後において,本人が後見開始の審判を受けたとしても,任意後見契約は継続される。


任意後見監督人が選任された後において本人が後見開始の審判等を受けたときは,任意後見契約は終了します。


〈今日の一言〉


任意後見制度の問題は,簡単です


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