障害者虐待防止法は,「障害者の権利に関する条約」を批准するために制定された法律です。
虐待には
・養護者による虐待
・障害者福祉施設従事者等による虐待
・使用者による虐待
の3種類があります。
医療機関従事者による虐待は含まれません。
そのため,精神障害者に限定されますが,精神保健福祉法で,精神障害者に対する虐待の防止が規定されています。
ほかの虐待防止法と同じように,精神科病院において業務従事者による虐待を受けたと思われる精神障害者を発見した者は,速やかに通報しなければなりません。
通報先のまとめ
虐待した者 |
通報先 |
養護者 |
市町村 |
障害者福祉施設従事者等 |
市町村 |
使用者 |
市町村及び都道府県 |
精神科病院の業務従事者 |
都道府県 |
精神障害者の場合は,市町村の役割はほとんどありません。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題62
「障害者虐待防止法」及び「平成30年度障害者虐待対応状況調査」(厚生労働省)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 養護者による虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は,速やかに,これを都道府県に通報する義務がある。
2 障害者虐待とは,養護者による障害者虐待と障害者福祉施設従事者等による障害者虐待の2類型をいうと定義されている。
3 養護者による障害者虐待は,身体的虐待,性的虐待,心理的虐待,放置など養護を怠ること,の4種類であると定義されている。
4 障害者福祉施設従事者等により虐待を受けた者の障害種別は,知的障害が最も多い。
5 障害者福祉施設従事者等による虐待行為の類型は,性的虐待が最も多い。
(注)1 「障害者虐待防止法」とは,「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
2 「平成30年度障害者虐待対応状況調査」とは,「平成30年度『障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果報告書」のことである。
データが古いですが,傾向は現在も変わりません。
それでは,解説です。
1 養護者による虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は,速やかに,これを都道府県に通報する義務がある。
養護者による虐待を受けたと思われる障害者を発見した者の通報先は,市町村です。
2 障害者虐待とは,養護者による障害者虐待と障害者福祉施設従事者等による障害者虐待の2類型をいうと定義されている。
使用者による虐待が抜けています。
3 養護者による障害者虐待は,身体的虐待,性的虐待,心理的虐待,放置など養護を怠ること,の4種類であると定義されている。
経済的虐待が抜けています。
4 障害者福祉施設従事者等により虐待を受けた者の障害種別は,知的障害が最も多い。
これが正解です。最も多いのは,知的障害です。
5 障害者福祉施設従事者等による虐待行為の類型は,性的虐待が最も多い。
最も多いのは,身体的虐待です。