今回は,障害児・者を対象とした現金給付の制度を学びます。
今日の問題に登場する主な制度は,以下の通りです。
国民年金法
・障害基礎年金
特別児童扶養手当法
・特別障害者手当(在宅で生活する20歳以上の重度障害者に支給)
・特別児童扶養手当(在宅で生活する20歳未満の児童を監護する父母等に支給)
・障害児福祉手当(20歳未満の重度障害児に支給)
労働者災害補償保険法
・障害補償年金
児童手当法
・児童手当
どれもが重要な制度ですが,特徴的なのは,障害基礎年金です。
社会保険制度は,事前に保険料が納付されていることが支給要件です。
しかし,障害基礎年金は,20歳前に初診日がある場合,20歳になると給付されます。
国民年金は,20歳以上60歳未満の者が加入する制度なので,障害基礎年金は,保険料を一度も納付していなくても受給できる可能性があります。
この仕組みを取り入れることで,国民皆年金が実現しています。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題53
障害児・者に係る現金給付に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 出生時から重度の障害があり,保険料を納めることができなかった障害者は,保険料を追納した場合に限り,障害基礎年金を受給することができる。
2 在宅の重度障害者は,所得にかかわらず特別障害者手当を受給できる。
3 障害厚生年金が支給される場合,労働者災害補償保険の障害補償年金は全額支給停止される。
4 特別児童扶養手当を受給している障害児の父又は母が,児童手当の受給要件を満たす場合には,児童手当を併せて受給できる。
5 障害児福祉手当は,重度障害児の養育者に対し支給される手当である。
障害基礎年金は,選択肢に出題されています。目星はつきますか。
それでは,解説です。
1 出生時から重度の障害があり,保険料を納めることができなかった障害者は,保険料を追納した場合に限り,障害基礎年金を受給することができる。
20歳未満に障害を負った者は,保険料納付がなくても,20歳になると障害基礎年金が給付されます。
ただし,所得が一定以上ある場合には,給付されません。
社会扶助は,所得調査を必要な選別主義を取る制度が多いです。
社会保険制度は,特定の保険事故に対して,所得調査をすることなく,給付されるのが特徴です。
しかし,障害基礎年金は,社会保険制度でありながら,所得調査を必要とする制度です。
つまり,社会保険でありなから,社会扶助的な要素をもつ制度です。
なお,20歳前傷病に対して支給される障害基礎年金の場合に所得制限がある理由は,保険料を納付してする者との公平性を図るためです。
2 在宅の重度障害者は,所得にかかわらず特別障害者手当を受給できる。
特別障害者手当は,社会扶助なので,受給するには所得制限があります。
3 障害厚生年金が支給される場合,労働者災害補償保険の障害補償年金は全額支給停止される。
同一の傷病に対する障害厚生年金と障害補償年金は,障害厚生年金が満額支給,障害補償年金は減額支給となります。
4 特別児童扶養手当を受給している障害児の父又は母が,児童手当の受給要件を満たす場合には,児童手当を併せて受給できる。
これが正解です。
児童に対する現金給付には,もう一つとして「児童扶養手当」もあります。
要件を満たす場合,児童手当,児童扶養手当,特別児童扶養手当は併給できます。
児童手当は,従来は,所得制限のある社会手当でしたが,2024年10月に所得制限がなくなり,支給年齢は18歳に達した最初の3月31日までに延長されます。
5 障害児福祉手当は,重度障害児の養育者に対し支給される手当である。
特別児童扶養手当法には,
・特別児童扶養手当
・特別障害者手当
・障害児手当
の3つがあります。
これらのうち,養育者に対し支給されるのは,特別児童扶養手当です。
特別障害者手当と障害児手当は,本人に対して支給されます。
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