2024年8月31日土曜日

労働者災害補償保険が適用されるのは,すべての労働者

 労働者災害補償保険(労災保険)は,労働の権利を保障するための制度です。


労働者を使用しているすべての事業所に適用されます。


労災保険は,労働者(給与が支払われる者)であれば,給付を受けることができます。この点は,とてもシンプルです。


保険料負担は,事業主のみで,労働者の負担はありません。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題52 

事例を読んで,労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 運送会社で正社員として働いているFさんは,合理的な経路及び方法により通勤中,駅の階段で転倒し,負傷した。

1 Fさんの負傷は業務災害ではないので,労災保険の給付は行われない。

2 Fさんの雇用期間が6か月未満である場合,労災保険の給付は行われない。

3 Fさんが療養に係る労災保険の給付を受けられる場合,自己負担は原則1割である。

4 Fさんが療養に係る労災保険の給付を受ける場合,同一の負傷について,健康保険の療養の給付は行われない。

5 Fさんの勤務先が労災保険の保険料を滞納していた場合,労災保険の給付は行われない


それでは解説です。


1 Fさんの負傷は業務災害ではないので,労災保険の給付は行われない。


労災保険の保険事故は,業務災害と通勤災害です。


労災保険ができた当初は,業務災害のみでしたが,1970年代に通勤災害が加わっています。


2 Fさんの雇用期間が6か月未満である場合,労災保険の給付は行われない。


労災保険は,雇用期間などに関係なく,労働者(給与の支払いを受ける者)であれば,給付されます。


3 Fさんが療養に係る労災保険の給付を受けられる場合,自己負担は原則1割である。


労災保険は,医療保険と異なり,自己負担はありません。


4 Fさんが療養に係る労災保険の給付を受ける場合,同一の負傷について,健康保険の療養の給付は行われない。


これが正解です。


健康保険は,労災以外に適用されます。つまり優先されるのは,労災保険です。


5 Fさんの勤務先が労災保険の保険料を滞納していた場合,労災保険の給付は行われない。


勤務先が保険料を滞納していても,労災保険は給付されます。

そのうえで,事業主に請求し,それでも納付されない場合は,差し押さえなどが行われます。

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