2024年8月9日金曜日

感覚・知覚

 心理学と心理的支援は,好き嫌いが分かれる科目だと思います。しかし,出題の内容が安定しているので,得点を稼ぐことが容易です。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題9

知覚に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 外界の刺激を時間的・空間的に意味のあるまとまりとして知覚する働きを,知覚の体制化という。

2 明るい場所から暗い場所に移動した際,徐々に見えるようになる現象を,視覚の明順応という。

3 個人の欲求や意図とは関係なく,ある特定の刺激だけを自動的に抽出して知覚することを,選択的注意という。

4 水平線に近い月の方が中空にある月より大きく見える現象を,大きさの恒常性という。

5 二つの異なる刺激の明るさや大きさなどの物理的特性の違いを区別することができる最小の差異を,刺激閾という。


知識不足で正解するのは,かなり難しい問題でしょう。


先に述べたように,この科目の問題の内容は安定しています。

繰り返しの出題が本当に多いのです。感覚・知覚も繰り返し繰り返し出題されています。


それでは,解説です。


1 外界の刺激を時間的・空間的に意味のあるまとまりとして知覚する働きを,知覚の体制化という。


これが正解です。


2 明るい場所から暗い場所に移動した際,徐々に見えるようになる現象を,視覚の明順応という。


明るい場所から暗い場所に移動した際,徐々に見えるようになる現象は,暗順応です。

明順応は,明るさに慣れることです。


3 個人の欲求や意図とは関係なく,ある特定の刺激だけを自動的に抽出して知覚することを,選択的注意という。


選択的注意は,自分の関心のある刺激を抽出することです。


がやがやしているところで,会話を録音してみるとわかりますが,周りの音によって,会話を聞き取るのは困難です。


しかし,耳ではしっかり聞き取ることができます。それが選択的注意です。


4 水平線に近い月の方が中空にある月より大きく見える現象を,大きさの恒常性という。


水平線に近い月の方が中空にある月より大きく見える現象は,錯視です。


大きさの恒常性は,網膜に映る画像の大きさが異なっていても,同じ大きさのものに知覚することです。


遠くから自分に向けて走ってきて,横を通り過ぎる場合を考えます。


遠くにいるときには,小さい画像が網膜に映っています。近くなるにつれて,画像が大きくなります。


そして遠ざかると小さくなっていきます。


しかし,どれも同じように見えます。遠くにいる人を小人だとは知覚しません。


5 二つの異なる刺激の明るさや大きさなどの物理的特性の違いを区別することができる最小の差異を,刺激閾という。


刺激閾は,音や明るさを感じることができる最少の刺激です。


聴力検査では,小さな音を徐々に大きくしていって,聴こえたという点が刺激閾です。

重さなどの物理的特性の違いを区別することができる最小の差異は,丁度可知差異(ちょうどかちさい)といいます。弁別閾ともいいます。


たとえば,軽いものは,重さの違いがわかりにくいですが,徐々に重くしていって,重くなったということがわかる点が,丁度可知差異です。



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