イギリスの救貧制度の歴史はいろいろな出来事がありますが,その中心は,エリザベス救貧法と新救貧法です。
〈エリザベス救貧法のポイント〉
・救済の対象は,労働能力のある貧民,労働能力のない貧民,親の扶養を受けられない児童
〈新救貧法のポイント〉
・救済基準を全国で統一化したこと。
・劣等処遇の原則を導入したこと。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題25
イギリスの新救貧法(1834年)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 劣等処遇の原則を導入し,救貧の水準を自活している最下層の労働者の生活水準よりも低いものとした。
2 パンの価格に基づき定められる最低生計費よりも収入が低い貧困者を対象に,救貧税を財源としてその差額を給付した。
3 貧困調査を実施して,貧困は社会的な要因で発生することを明らかにした。
4 働ける者を労役場で救済することを禁止し,在宅で救済する方策を採用した。
5 貧困の原因として欠乏・疾病・無知・不潔・無為の5大巨悪を指摘した。
歴史を苦手にする人は多いですが,覚えるべきポイントは明確なので,苦手にしておくのはあまりにもったいないと思います。
それでは,解説です。
1 劣等処遇の原則を導入し,救貧の水準を自活している最下層の労働者の生活水準よりも低いものとした。
これが正解です。劣等処遇の原則を導入したのは,新救貧法です。
2 パンの価格に基づき定められる最低生計費よりも収入が低い貧困者を対象に,救貧税を財源としてその差額を給付した。
これは,スピーナムランド制度です。
3 貧困調査を実施して,貧困は社会的な要因で発生することを明らかにした。
これは,ブースの貧困調査です。
4 働ける者を労役場で救済することを禁止し,在宅で救済する方策を採用した。
これは,ギルバート法です。
5 貧困の原因として欠乏・疾病・無知・不潔・無為の5大巨悪を指摘した。
これは,ベヴァリッジ報告です。
〈今日の一言〉
今日の問題を見てもわかるように,歴史問題は出題ポイントが極めて明確です。
短期間でも知識及び得点力を上げることができます。