自閉スペクトラム症(ASD)は,社会的コミュニケーションの障害があり,限定された反復的な行動様式を特徴とします。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題6
次のうち,精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)において,自閉スペクトラム症(ASD)と診断するための症状に含まれるものとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 同一性への固執
2 精神運動制止
3 陰性症状
4 気分の高揚
5 幻覚
自閉スペクトラム症のことを少しでも知っていれば,詳しい診断基準を知らずとも正解できそうな問題です。
医学概論の教科書を見るととても難しいように感じますが,国家試験自体は,この問題のようにそれほど難しくは出題しないのが,近年の傾向です。
それでは,解説です。
1 同一性への固執
これが正解です。
自閉スペクトラム症では,同一性の固執がみられ,小さな変化を苦痛に感じ,変えることが苦手です。
2 精神運動制止
これは誤りです。
精神運動制止は,うつ病でみられるもので,体の動きが遅くなる,口数が少なくなる,声が小さくなるような状態です。
3 陰性症状
陰性症状は,統合失調症でみられるもので,感情表現の減少,発話の減少などの症状です。
妄想や幻覚は,陽性症状です。
4 気分の高揚
気分の高揚は,躁病や双極性(感情)障害の躁状態でみられるもので,ハイテンションの状態です。
5 幻覚
幻覚は,主に統合失調症でみられるもので,幻聴が特徴です。
妄想や幻覚は,陽性症状です。
〈勉強のヒント〉
医学概論は,精神保健福祉士を目指す学生も学ぶ科目です。
精神保健福祉士には,精神医学と精神医療という科目でも精神疾患を学びますが,基礎的な内容は,この科目が担います。
そのため,精神疾患はかなりの確率で出題されます。
とは言っても,それほど高度な問題は出題されてきていません。
第31回・問題7
精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)における「神経性やせ症/神経性無食欲症」の診断基準に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 はっきりと確認できるストレス因がある。
2 体重は標準体重以上である。
3 対人恐怖がある。
4 やせることに対する恐怖がある。
5 過食を生じるタイプもある。
正解は5です。
神経性やせ症/神経性無食欲症は,かつては拒食症と呼ばれていたものですが,食べないことの反動として,過食することもあります。
拒食 → 過食 → 拒食 → 過食 といったループを生じます。
特に覚えておきたい疾患 ( )内は,DSM-5の分類
・うつ病 (抑うつ障害群)
・双極性障害 (双極性障害および関連障害群)
・総合失調症 (統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群)
・注意欠如・多動症(ADHD) (神経発達症群/神経発達障害群)
・自閉スペクトラム症(ASD) (神経発達症群/神経発達障害群)