2024年8月6日火曜日

自閉スペクトラム症(ASD)の診断基準

自閉スペクトラム症(ASD)は,社会的コミュニケーションの障害があり,限定された反復的な行動様式を特徴とします。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題6

次のうち,精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)において,自閉スペクトラム症(ASD)と診断するための症状に含まれるものとして,正しいものを1つ選びなさい。

1 同一性への固執

2 精神運動制止

3 陰性症状

4 気分の高揚

5 幻覚


自閉スペクトラム症のことを少しでも知っていれば,詳しい診断基準を知らずとも正解できそうな問題です。


医学概論の教科書を見るととても難しいように感じますが,国家試験自体は,この問題のようにそれほど難しくは出題しないのが,近年の傾向です。


それでは,解説です。


1 同一性への固執


これが正解です。


自閉スペクトラム症では,同一性の固執がみられ,小さな変化を苦痛に感じ,変えることが苦手です。


2 精神運動制止


これは誤りです。


精神運動制止は,うつ病でみられるもので,体の動きが遅くなる,口数が少なくなる,声が小さくなるような状態です。


3 陰性症状


陰性症状は,統合失調症でみられるもので,感情表現の減少,発話の減少などの症状です。


妄想や幻覚は,陽性症状です。


4 気分の高揚


気分の高揚は,躁病や双極性(感情)障害の躁状態でみられるもので,ハイテンションの状態です。


5 幻覚


幻覚は,主に統合失調症でみられるもので,幻聴が特徴です。


妄想や幻覚は,陽性症状です。


〈勉強のヒント〉


医学概論は,精神保健福祉士を目指す学生も学ぶ科目です。


精神保健福祉士には,精神医学と精神医療という科目でも精神疾患を学びますが,基礎的な内容は,この科目が担います。


そのため,精神疾患はかなりの確率で出題されます。


とは言っても,それほど高度な問題は出題されてきていません。


第31回・問題7

精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)における「神経性やせ症/神経性無食欲症」の診断基準に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 はっきりと確認できるストレス因がある。

2 体重は標準体重以上である。

3 対人恐怖がある。

4 やせることに対する恐怖がある。

5 過食を生じるタイプもある。


正解は5です。


神経性やせ症/神経性無食欲症は,かつては拒食症と呼ばれていたものですが,食べないことの反動として,過食することもあります。


拒食 → 過食 → 拒食 → 過食 といったループを生じます。


特に覚えておきたい疾患  ( )内は,DSM-5の分類

・うつ病   (抑うつ障害群)

・双極性障害   (双極性障害および関連障害群)

・総合失調症  (統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群)

・注意欠如・多動症(ADHD) (神経発達症群/神経発達障害群)

・自閉スペクトラム症(ASD)  (神経発達症群/神経発達障害群)




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