リハビリテーションというと,身体機能の維持・向上をイメージする人は多いのではないかと思います。
しかし,それだけにはとどまりません。
世界保健機関(WHO)では,以下の4分野を示しています。
医学的リハビリテーション |
身体機能,心理的機能などの向上を目的とするもの。 |
社会リハビリテーション |
社会生活力を高めることなどを目的とするもの。 |
教育リハビリテーション |
障害児などの潜在能力の開発,自己実現を図ることなどを目的とするもの。 |
職業リハビリテーション |
職業指導,職業訓練などによって職業能力の向上を目的とするもの。 |
それでは,今日の問題です。
第33回・問題7
リハビリテーションに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 学校教育では行われない。
2 急性期治療を終えてから開始される。
3 補装具の処方による代償的・適応的アプローチは含まれない。
4 介護保険制度によるサービスとしては提供されない。
5 将来的な筋力低下が予想される場合の予防的アプローチが含まれる。
それほど難しくはない問題かもしれませんが,一応解説します。
1 学校教育では行われない。
これは誤りです。
学校教育現場では,教育リハビリテーションや社会リハビリテーションなどが実施されます。
2 急性期治療を終えてから開始される。
これも誤りです。
リハビリテーションは,急性期中から開始されます。
3 補装具の処方による代償的・適応的アプローチは含まれない。
これも誤りです。
補装具の処方及び適合判定は,身体障害者更生相談所の業務です。
代償的とは,身体の代わりになるもの,適応的とは,社会に適応すること,といった意味合いです。
医学的リハビリテーションでは,補装具も重要です。
パラリンピックの始まりは,医学的リハビリテーションを目的としていました。
4 介護保険制度によるサービスとしては提供されない。
これも誤りです。
介護保険サービスのリハビリテーションサービスは,訪問リハビリテーション,デイケアがあります。
そのほかには,介護老人保健施設で行われるリハビリテーションなどもあります。
5 将来的な筋力低下が予想される場合の予防的アプローチが含まれる。
これが正解です。
リハビリテーションには,予防的に行うものもあります。筋力低下が予想されるのに何もしないということはないでしょう。