諸外国の社会保障制度は,それぞれの国で工夫して発展しています。
年金制度は,社会保険制度で運営する国が多いですが,医療保障は,それぞれの国の特徴が出ます。
〈税を主な医療保障の財源とする主な国〉
・イギリス(NHS)
・スウェーデン など
〈保険料を主な医療保障の財源とする主な国〉
・日本
・フランス
・ドイツ など
〈介護保障に社会保険制度を採用している主な国〉
・ドイツ
・日本
・韓国 など
それでは,今日の問題です。
第33回・問題27
各国の社会福祉や社会保障の現状に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 アメリカの公的医療保障制度には,低所得者向けのメディケアがある。
2 スウェーデンの社会サービス法では,住民が必要な援助を受けられるよう,コミューンが最終責任を負うこととなっている。
3 ドイツの社会福祉制度は,公的サービスが民間サービスに優先する補完性の原則に基づいている。
4 中国の計画出産政策は,一組の夫婦につき子は一人までとする原則が維持されている。
5 韓国の高齢者の介護保障(長期療養保障)制度は,原則として税方式で運用されている。
勘で正解することはかなり困難な問題でしょう。
それでは,解説です。
1 アメリカの公的医療保障制度には,低所得者向けのメディケアがある。
メディケアは,高齢者,障害者などを対象とするものです。
低所得者を対象とするのは,メディケイドです。
2 スウェーデンの社会サービス法では,住民が必要な援助を受けられるよう,コミューンが最終責任を負うこととなっている。
これが正解です。スウェーデンは,日本の県に相当するギデオン(かつてのランスティング)と市町村に相当するコミューンがあります。
レギオンは,医療に関する責任を負います。
コミューンは,福祉に関する責任を負います。
このように役割が分かれたのは,1990年代に行われたエーデル改革によります。
3 ドイツの社会福祉制度は,公的サービスが民間サービスに優先する補完性の原則に基づいている。
ドイツは,民間サービスが公的サービスに優先されます。
4 中国の計画出産政策は,一組の夫婦につき子は一人までとする原則が維持されている。
中国のいわゆる一人っ子政策は,2016年に廃止されています。
5 韓国の高齢者の介護保障(長期療養保障)制度は,原則として税方式で運用されている。
韓国の介護保障は,日本と同じく社会保険方式で運用されています。