心臓が収縮することによって全身に血液が送られます。
心臓が収縮する時が最も血圧が高く,一般的には最高血圧と言います。
専門用語では,収縮期血圧と言います。
そのあと,心臓は,拡張していきます。この時は,血液が送られていないので,血圧は高くなりません。
一般的には最低血圧と言います。専門用語では,拡張期血圧と言います。
老化に伴い,血圧が上がることはよく知られていますが,上がるのは,収縮期血圧です。
拡張期血圧はそれほど変わりません。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題1
人の成長と老化に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 生後2か月では,寝返りが打てる。
2 思春期には,第一次性徴が出現する。
3 青年期の終わりは,身体の成長が最も著しい時期である。
4 20歳頃には,生殖器系の成長が最も著しくなる。
5 老年期には,収縮期血圧が上昇する。
なんの変哲もない問題ですが,国家試験会場では,こんな問題でさえも確実に得点することは簡単ではありません。
なぜなら,読み間違いなどがあるからです。
過去問を解く意義として,一語一語を確実に読む訓練であることもあります。
それでは解説です。
1 生後2か月では,寝返りが打てる。
このような出題があると,子育て経験がある人が有利,経験のない人は不利,と思う人もいると思います。
しかし,決してそんなことはありません。
子育てしていた時は,一日一日が大変なので,それが何か月のことだったのかを記録なしに覚えている人はそれほど多くはないからです。
今は,寝返りができるようになる時期は,参考書に掲載されていますが,この問題が出題されたときには,まだ掲載されていませんでした。
しかし,この問題の正解は,圧倒的に選択肢5です。この時点ではこの選択肢がわからなくても正解できるように問題が作られていました。
国家試験の問題の多くはこんな感じです。
なお,寝返りができるようになるのは,早くて生後4か月くらいからです。
ということで誤りです。
2 思春期には,第一次性徴が出現する。
第一次性徴とは,性器などの男女差です。生後すぐわかりますが,現在は,生まれる前から,エコーなどを使うことで性別がわかります。
第二次性徴は,思春期にみられる体の変化です。
ということで誤りです。
3 青年期の終わりは,身体の成長が最も著しい時期である。
これに引っ掛けられる人もいるでしょう。
思春期から青年期(12~20歳ころ)は,身長が大きく伸びます。
しかし,2倍にはなりません。
身体の成長が著しいのは,乳幼児期です。
身長も体重も2倍以上になります。
ということで誤りです。
4 20歳頃には,生殖器系の成長が最も著しくなる。
生殖器系の成長が最も著しいのは,第二次性徴です。つまり,思春期です。
5 老年期には,収縮期血圧が上昇する。
前説のように,これが正解です。
収縮期血圧は,老化によって上昇します。
〈今日の一言〉
今日の問題は,決して難しい問題ではありません。
しかし,選択肢1に「寝返りの時期」が出題されていることで,心の平常心を失いがちになります。
こういった伏兵にやられることもあるのが国家試験の怖いところです。
一問一答式の問題集を勧める先生もいますが,最後は,必ず5択の問題になっているもので仕上げる必要があります。
これから,国試に向けて,第33回国家試験問題を中心に解説していきます。
このシリーズが終わる6か月後には,国家試験を迎えます。
そう考えると早いですね。