労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)は,雇用対策法を改正したものです。
労働に関する総合的な施策を講じるための法律で,労働に関する基本法のような性格をもっています。
近年の改正では,パワーハラスメントの防止措置が義務化されています。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題31
次のうち,働き方改革とも関連する「労働施策総合推進法」の内容の説明として,適切なものを2つ選びなさい。
1 国は,日本人の雇用確保のため不法に就労する外国人への取締りを強化しなければならない。
2 国は,子を養育する者が離職して家庭生活に専念することを支援する施策を充実しなければならない。
3 事業主は,職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって,業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう,必要な措置を講じなければならない。
4 国は,労働者が生活に必要な給与を確保できるよう労働時間の延長を容易にする施策を充実しなければならない。
5 事業主は,事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者について,求職活動に対する援助その他の再就職の援助を行うよう努めなければならない。
(注) 「労働施策総合推進法」とは,「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(旧雇用対策法)のことである。
正解を2つ選ぶのを忘れなければ,正解するのはそれほど難しくない問題です。
問題づくりが下手だからです。
それでは解説です。
1 国は,日本人の雇用確保のため不法に就労する外国人への取締りを強化しなければならない。
日本の少子化に伴い,今後は外国人労働者に大きな期待がかけられている時代です。
不法就労は取り締まりが必要かもしれませんが,この法律で改めて規定する内容ではありません。
国の役割として規定されているのは,外国人の雇用の改善などです。これは納得できますね。
2 国は,子を養育する者が離職して家庭生活に専念することを支援する施策を充実しなければならない。
少子化の時代にこれはないでしょう。
女性の職業及び子の養育又は家族の介護を行う者の職業の安定を図るため,雇用の継続,円滑な再就職の促進,母子家庭の母及び父子家庭の父並びに寡婦の雇用の促進その他のこれらの者の就業を促進するために必要な施策を充実すること。 |
これも納得です。
3 事業主は,職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって,業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう,必要な措置を講じなければならない。
これが1つめの正解です。
4 国は,労働者が生活に必要な給与を確保できるよう労働時間の延長を容易にする施策を充実しなければならない。
働き方改革の時代にこれはないでしょう。
各人が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することを促進するため,労働時間の短縮その他の労働条件の改善,多様な就業形態の普及及び雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保に関する施策を充実すること。 |
これも納得です。
5 事業主は,事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者について,求職活動に対する援助その他の再就職の援助を行うよう努めなければならない。
これが2つめの正解です。
これはちょっと難しいものかもしれませんが,明らかに消去できるものがあるので,結果的にこれが残ります。
事業主は,事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者について,当該労働者が行う求職活動に対する援助その他の再就職の援助を行うことにより,その職業の安定を図るように努めなければならない。 |
これはとても有難いことです。
法で規制せずとも,再就職の援助はやってくれそうな感じもしますが,法で規定することによって,意識する事業主もいることでしょう。
法に努力義務を定めるのは,こういった効果をねらうためです。