健康保険は,被用者を対象とした医療保険制度です。
国民健康保険は,健康保険に加入していない人が加入する医療保険制度です。
このスタイルをとることで,国民皆保険を形成しています。
現在は,75歳になると,それぞれの医療保険から抜けて,後期高齢者医療制度に加入します。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題51
医療保険制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 国民健康保険には,被用者の一部も加入している。
2 医師など同種の事業又は業務に従事する者は,独自に健康保険組合を組織することができる。
3 協会けんぼ(全国健康保険協会管掌健康保険)の保険料率は,全国一律である。
4 健康保険の被扶養者が,パートタイムで働いて少しでも収入を得るようになると,国民健康保険に加入しなければならない。
5 日本で正社員として雇用されている外国人が扶養している外国在住の親は,健康保険の被扶養者となる。
日本の医療保険制度は,複数の保険者によって運営されているため,複雑です。
これは,以前からあった制度を活用して,皆保険としたためです。
注意が必要なのは,健康保険も国民健康保険も組合があることです。
それでは,解説です。
1 国民健康保険には,被用者の一部も加入している。
これが正解です。
被用者は基本的には健康保険に加入します。しかし,加入要件に合わない労働者は健康保険ではなく,国民健康保険に加入します。
この仕組みによって,皆保険が成立しています。
加入要件
・週の勤務時間が20時間以上
・給与が月88.000円以上
・学生ではない(定時制,通信制はOK) など
2 医師など同種の事業又は業務に従事する者は,独自に健康保険組合を組織することができる。
早速,組合が出てきました。
医師などが組織するのは国民健康保険組合(国保組合)です。
健康保険組合(健保組合)は,大企業などが独自に組織する組合です。
3 協会けんぼ(全国健康保険協会管掌健康保険)の保険料率は,全国一律である。
協会けんぽは,都道府県ごとに保険料率が定められています。医療費が高い都道府県は保険料率が高く設定されます。
4 健康保険の被扶養者が,パートタイムで働いて少しでも収入を得るようになると,国民健康保険に加入しなければならない。
健康保険の被扶養者は,収入額が一定以下であれば,被扶養者のままでいられます。
5 日本で正社員として雇用されている外国人が扶養している外国在住の親は,健康保険の被扶養者となる。
健康保険には,被扶養者という制度があります。
しかし,外国に在住している親は,被扶養者にはなりません。
国民健康保険には,被扶養者の制度がないので,世帯主が全員分の保険料を納付します。
世帯主が健康保険の被保険者だとしても,家族に国民健康保険の加入者がいた場合,納付義務を負います。