今回のテーマは,政策評価法に基づく政策評価です。
近年,評価の重要性が高まっているので,国家試験でも評価に関する出題が多くなってきています。
今日は前説なしでいきます。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題29
「政策評価法」に基づく行政機関の政策評価に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 政策評価の実施に当たり,利害関係者の参加を義務づけている。
2 政策評価の基準として,必要性よりも効率性が重視される。
3 政策評価の方法は,自己評価,利用者評価,プロセス評価により行われる。
4 政策評価の対象となる行政機関は,地方公共団体である。
5 政策評価の目的は,効果的・効率的な行政の推進及び国民への説明責任を全うされるようにすることである。
(注) 「政策評価法」とは,「行政機関が行う政策の評価に関する法律」のことである。
こんな問題を国家試験会場で見ると,焦ってしまいそうな問題です。
しかし,焦らず,落ち着いて問題を読むと答えが浮き上がってくる問題です。
それでは,解説です。
1 政策評価の実施に当たり,利害関係者の参加を義務づけている。
政策評価法では,政策評価の方法についての規定はありません。
2 政策評価の基準として,必要性よりも効率性が重視される。
政策評価は,必要性も効率性も重要です。さらには有効性も重要です。
3 政策評価の方法は,自己評価,利用者評価,プロセス評価により行われる。
政策評価法では以下のように規定されます。
(政策評価の在り方) 第三条行政機関は、その所掌に係る政策について、適時に、その政策効果(当該政策に基づき実施し、又は実施しようとしている行政上の一連の行為が国民生活及び社会経済に及ぼし、又は及ぼすことが見込まれる影響をいう。以下同じ。)を把握し、これを基礎として、必要性、効率性又は有効性の観点その他当該政策の特性に応じて必要な観点から、自ら評価するとともに、その評価の結果を当該政策に適切に反映させなければならない。 2 前項の規定に基づく評価(以下「政策評価」という。)は、その客観的かつ厳格な実施の確保を図るため、次に掲げるところにより、行われなければならない。 一 政策効果は、政策の特性に応じた合理的な手法を用い、できる限り定量的に把握すること。 二 政策の特性に応じて学識経験を有する者の知見の活用を図ること。 |
これによると,自己評価を行うことは適切です。
利用者評価,プロセス評価については,言及されていません。
言及されているのは,定量的に把握すること,学識経験を有する者の知見を活用することです。
4 政策評価の対象となる行政機関は,地方公共団体である。
〈政策評価の対象〉
・内閣府
・宮内庁
・警察庁
・デジタル庁
・各省
・公害等調整委員会
・原子力規制委員会 など
これでわかるように,地方公共団体は含まれていません。
5 政策評価の目的は,効果的・効率的な行政の推進及び国民への説明責任を全うされるようにすることである。
これが正解です。
〈今日の一言〉
今日の問題の答えを知ると,答えはこれしかないと思えるのではないでしょうか。
国家試験の問題の中には,このようなタイプもあります。
こういったものを1つでも拾っていくためには,問題慣れすることが大切です。
この学習部屋はそのためにあります。